はじめに

はじめまして!商店街のお宿と喫茶、シーナと一平 番頭のつよぽんと申します。

この度、シーナと一平で起こった出来事やご宿泊いただいた方々をご紹介する機会をいただきまして、筆を取らせていただきました。(いやはや、恐縮です!)
このページをご覧になっている方の中には、「シーナと一平」とは何ぞや。そもそも、あなたは誰?とお思いの方もいらっしゃるかと思います。すこし簡単にはなりますが、シーナと一平の成り立ちと、僕の紹介をさせていただきます。

シーナと一平の始まりは、2015年3月に行われた、「リノベーションスクール@豊島区」というイベントでした。空き家を持っていて困っているオーナーさまの物件、何か新しい事業や仕組みを考えたいという熱意のある人々(主に社会人の方)、そしてリノベーションのプロが講師として入り、ディスカッションを重ね、最終的にオーナー様に新事業のプレゼンをして、GOサインがでれば、事業を実際に始めるというものです。このイベントでは、いくつかそのような物件が提供されており、シーナと一平の前身である「とんかつ一平」もその一つでした。

イベント後も、シーナと一平の事業を考えたメンバーは、何度も計画を練り直し、話し合いを進めました。椎名町の魅力は、「あたりまえの日常」が存在すること。その日常をもっと、多くのひとに知ってもらい、楽しんでもらえる場所を作ることが、椎名町にとって「シーナと一平」がやるべきことにつながると考えました。そこで考えられたのが、2階を国内外の方々がいらっしゃる「お宿」として、1階を地元・近所の方々が集う「カフェ」とする構想。そして、それぞれがうまく混じり合うために、考えられたコンセプトが「ファブリックで世界とつながりミシンで地域とつながる」というものでした。運営の代表を務める日神山は、もともと小さい頃からミシンに親しんでいたことや、彼自身も「自分でつくるカーテンのワークショップ」を企画していたこともあり、ミシンや手作りをきっかけに地元のひととつながることを提案。
また布・ファブリックは、どの国においても特有の文化があり、ミシンや手作りとも親和性があるため、このコンセプトが生まれました。そのため、1階カフェスペースの壁には、大きな布(カーテン)が天井からかかっていたり、お宿は、部屋ごとにテーマを設けた布で装飾されたりしています。不動産のオーナーさまもこのコンセプトに共感していただき、2015年3月のリノベーションスクールから1年、2016年3月18日にオープンすることとなりました。

そうそう、建物のなかは、そのようにコンセプトに沿ってリノベーションしましたが、外観は「とんかつ一平」の看板を残したままにしています。それは、「とんかつ一平」を好いてくださった方々の思い出を受け継ぎたかったので、あえて看板を残すことにしたのです。嬉しいことに「昔、ここのとんかつをよく食べたのよ」「家族で食事に来ていたのが懐かしい」というお声がけをいただくきっかけにもなっています。

キースさんがシーナと一平に出会うまで

さてさて、前置きが長くなってしまいました。汗
今回は、そんなシーナと一平に、ご宿泊いただいた、Keith Dawさん(56)とのお話。イギリスはBristol(ブリストル:イギリス西部にある港町)というまちからお越しいただきました。

キースさんは、90日間の日本滞在で、そのうちのおよそ2ヶ月(約60日)間をシーナと一平で過ごしました。この滞在期間は、シーナと一平が始まってから最長の期間。僕たちとしてもはじめてのことで、正直何が起こるかわからない、事前に注意すべきことは?トラブルや不満があったらどうしよう?などなど、最初にリクエストを頂いた時はとても不安でした。なので、今回はとても特殊なのですが、実際にお宿の中をみていただいて、宿泊されるかどうかを判断いただいたような形になりました。実は、キースさん、最初の約2週間は、池袋にあるホテルに滞在されていたんです。あまりにも1泊の料金がかかってしまうので、どこか良い場所がないか、探していたところシーナと一平を友人から紹介してもらった、とのこと。はじめてお会いした時からとても気さくな方で、すごく個人的な感想ですが「俳優ハリソン・フォードのイギリス紳士バージョンがいらっしゃった!」と心の中で叫んでいました。

キースさんについて少しふかぼり

ここで、キースさんご自身のことについて。
キースさんは大学時代、数学を専攻していました。そのこともあり、職業はプログラマーです。長らく会社勤めをされた後、2011年にフリーのプログラマーに。キースさん曰く、「今はもうセミリタイアのような感じです」とのこと。イギリスの都市だけでなく、時にはアメリカにあるオフィスで仕事をする時期もあったとか。もともと日本に興味のあったキースさんは、2005年の後半からCardiff(カーディフ:イギリスを構成する4つの国のひとつ「ウェールズ」の首都)にある大学の夜間部で日本語の授業をとっていました。そこで日本語や日本の文化を知るきっかけが生まれ、去年2016年の10月に、初めて日本に来ました。「日本語を勉強するために、ようやく来て勉強することができたんです」と、嬉しそうに語るキースさん。語学学校に通いながら、時間があるときは東京の観光をしていたそうです。ちなみにそのときの滞在は、語学学校と連携しているホストファミリーのもとで過ごしていました。

ちなみに、布団の寝心地って…

話は少しそれるのですが、「布団の寝心地」についての話題になりました。
「最初に日本に来た時の寝るところも布団だったんですが、私は大丈夫でしたよ。硬いマットレスで寝るのが好きなので」と。
シーナと一平の寝具もお布団なので、特に外国の人にとっての寝心地がどうなのか僕が個人的に気になっての質問でした。^^;


シーナと一平でやってみたかったことがあった

さて、今回の滞在は語学学校ではなく、観光・滞在をメインにしていたキースさん。実は、シーナと一平を選んでくださったのには、もう一つ理由があるんです。それは「英語のレッスンをやってみたい」ということ。
シーナと一平は、1階がカフェエリアになっています。そのスペースの一角で「もし英語を習いたい人がいて、その人が私でもよければぜひ教えてみたいんです」と、提案してくださいました。もちろん僕たちとしてはOK!むしろそのような素敵な提案をしてくださってとても嬉しかったです。(実は、キースさんは、イギリスでお仕事をしながら「英語を教える資格」を取得していたんです!ちなみに、キースさんより「授業料は頂きませんので」という提案でした。)

時には、お宿に宿泊された日本人のゲストさん、時には近所のコインランドリーで仲良くなった方、時には僕らの友人、スタッフもレッスンしていただきました。シーナと一平のカフェ自体でもワークショップ・習いごと(ヨガや手編みの会など)を行っていたので、キースさんのお時間と興味があるタイミングで参加していただいたこともありました。

そんなシーナと一平がある椎名町に滞在されてどう感じました?と伺うと、「池袋から近いロケーションが良いし、商店街など日本らしいまち並みだと感じられて良かったです。先日、ゴミ拾い・ゴミ掃除をしている方々にあって、とても素敵だなと思いました。私の住んでいるBristol(イギリス南西部の大きな街)では見ない光景でしたので」とのこと。
そのような感想をいただけてなんだか嬉しく思う自分。(僕が掃除していたわけでもないのにね。)
でも確かに、椎名町では清掃活動をされている方々を時々見かけます。キースさんに言われてまちの素敵な部分を気づかせてもらえるのは、ありがたい反面、その光景に「慣れてしまっている」感覚が少し怖いなと、ハッとしました。(反省・・・)

自然が大好き

さいごに、滞在中いろいろな場所に行かれたと思うのですが、一番良かったところはどこ?という質問に。「蓼科(たてしな)(長野県)がとても良かった!自然が豊かで空気が新鮮で、山をハイキングできてとても気持ちが良かったです!おかげさまで天気もとても良くて。農家で育ったのでカントリーサイドが好きなんです。」と、一番目を輝かせてお話しされていました。
偶然にもキースさんが蓼科に行く前日に、蓼科に何度も行ったことがある方とキースさんとで話をしたタイミングがありました。
「東京が暑くても、蓼科は上着がないと寒いから絶対持っていった方がいいですよ!」とのアドバイス。帰ってきたキースさんから「アドバイス通り、上着を持って行って正解でした!朝晩が特に寒かったです!アドバイスをもらえてよかった!」と喜んでもらえて、(そうそう。こういう偶然が起こることがとても幸せなんだよなぁ)と改めてシーナと一平で働いている時の楽しさを感じていました。

キースさんのような滞在の仕方はシーナと一平としても初めてのこと。
しかし、ホテル暮らしではなく、ましてやウィークリーマンションの一人暮らしではなく、「あたりまえの東京ローカルの日常」を少しでも体感していただけたことが本当に嬉しかったです。
また日本に戻ってくるとのことなので、再開できる日を心待ちにしている今日この頃。

今回のゲストは、イギリスからいらしたKeith Dawさんでした。