わたしらしく暮らせるまちってどんな街?

“暮らす”と“働く”切り離すことなく、ひとつの理想のカタチを実現している人をゲストに招いて、お話しを聞くトークイベント「働くと暮らすの交差点」の第2回が、2月11日(土)に開催されました。都電荒川線向原駅近くの「日の出ファクトリー」には、“じぶんの働き方を見つめ直したい” “子育てと仕事のバランスに悩んでいる” “地域のために何か一緒にできることを模索したい”など、暮らし方・働き方への関心や意識の高い参加者の皆さんが、30人近くも集まりました。

さて今回のトークゲストの、要町在住の市川望未さん(のぞみんたべものきょうしつ主宰)、東池袋在住の山本恵子さん(会社員)、雑司が谷在住の鶴丸のどかさん(イラストレーター・グラフィックデザイナー)の3名が紹介され、会がスタートしました。

職場と往復するだけの家が 働く場所になったことで、街が優しく変化。

最初のトークは、要町に暮らし、自宅で子どものための料理教室「のぞみん たべものきょうしつ」を主宰する市川望未さんです。要町には会社員時代も含め、10年間住んでいるとのことですが、会社員をしていた頃は、街と自分の人生がここまで関わるとは思っていなかったそうです。

ーー「もともと要町に住み始めたきっかけも、実家に近いからという理由でした。それと、たくさん見た物件で一番キッチンまわりのスペックがよかったというそれだけなんです(笑)。なので、この街に住みたい!というような思い入れもなく住み始め、会社員の頃は職場と家の往復でした。でも、あるとき、『体力がある今はいいけれど、このまま同じ仕事をずっと続けていけるのかな?』というふうに、働き方に疑問を抱いたんですよね。これをきっかけに、自分の人生について考えるようになり、社会人10年目にいったん区切りをつけて、好きなことに挑戦してみたいと思うようになりました。今、独立して今年の4月で4年目なのですが、辞める決心をしてから、独立までの2年間を準備期間にあて、大好きな料理の仕事をするべく、資格を取ったり、大学の講座に通ったりと、次のステップに向けてスタートしました。決心したら一気にモードが変わりましたね」(市川さん)

会社員の時は、理科の実験教室に携わり、独立後は、小学校の理科教員と大手料理教室の講師もしている市川さん。料理好きが高じて子どもたちを対象にした料理教室を行っていますが、材料を使ってプロセスを踏んで結果を出す、理科の実験と料理は似ているそうです。

ー「料理は『生活のなかの科学』だと思うんです。教室では、ただ料理を作るだけでなく、料理を通して食材についても学んでほしいと思ってます。そしてその食材の香りや重さなど、実際に見て触って体験し、または予想することを通して、考える力も養えたらと思っています」(市川さん)

自宅で料理教室を行うようになり2年。そのきっかけをくれたのはご近所にあった「なんてんcafe」。ここでのイベントを通して少しずつ料理教室を開催しているうちに、まわりの人から「料理教室をやってほしい」と言われるようになり、自宅を改装して料理教室をオープン。それからは日々の暮らしも随分変わったそうです。

ー「会社員時代と比べると、生活はがらりと変わりました。まず、街の昼の顔を知ることができ、素通りしてきた場所やすれ違うだけの人との関わりができて、この街が自分の生活に欠かせない場所になりました。商店街で買い物をすることで、歩いているだけで声をかけてもらえるようになり、料理教室をすることで、街の子どもたちやお母さんたちと接するようになり、ここが自分の居場所という感じに。でもよく考えると、街自体は変わってはいないんですよね。私が変わったことで、開かれた優しい場所になったのだと思います」(市川さん)

“楽しいコト”が“楽しいコト”を引き寄せ、「楽しい暮らし」が広がった。

2番目に登場したのは、以前は神楽坂に住みながら東池袋で働き、その後、東池袋に住まいを移し職住近接となったが、現在は横浜に職場を移した山本恵子さん。職場だった場所が暮らしの場所に変わった時、どのような変化が起こったのでしょうか。

ー「引っ越したのは前の家が手狭になったことと、そして仕事が忙しく会社の近くに住みたいという理由からでした。でもいざ住む場所を探すとなると池袋周辺はなんとなく怖いイメージもあり、自分の住みたい“ステキで楽しい街”からかけ離れているような気がするしなあ(笑)、と思っていました。でもその不安は今のマンションに出合い、暮らしていくうちに無くなりました。マンションは入居者が壁紙を選ぶことができたのと、『自分らしく暮らそう』というコンセプトがありました。この“カスタマイズ賃貸”の第一人者でもある、大家の青木純さんと会ってお話して、純さんの人柄や想いに惹かれ、引っ越しを決めました。そして住んでいるうちに、マンション内に『都電テーブル』というおしゃれな食堂や、シェアワーキングスペースができたり、様々なイベントがある『日の出ファクトリー』ができたりと、住んでいる人はもちろん、近隣の方も、足を運んでくれる方も楽しめる場所へと変わっていったんです。さらにここ数年で、このマンションだけではなく、周辺にもステキなお店が増えました。近くにはレアなライブやイベントがある東池袋の象徴的なカフェ『KAKULULU』もあります。カフェなどお店ができることで人も集まり、楽しいコトが街に増えました。街の雰囲気も変っていきました。なんということでしょう!気がついたら“ステキで楽しい街”になってきました!(笑)」(山本さん)

もともと職場の近くへ引っ越しした山本さんですが、今は横浜まで通勤しています。不便さなどはないのでしょうか。

ー「マンション内に気の合う仲間のコミュニティがあり、日本酒の会や、映画を観たり、その感想会を開いたり。と、時折集まって楽しんでいます。住んでいる場所が同じだと、地元の話でも盛り上がり、話に上った近所のおいしいカレー屋さんにみんなで行って楽しんだりも。それと、ストレスフルな時は近所のお気に入りのカフェに立ち寄り、心安らぐ楽しい時間をすごせてハッピーな気持ちになれたり。しかも地元で、手作りマルシェや食のイベントに行けたり、ジャズライブが観れるとかも嬉しいです!こうして自分らしく暮らしを楽しんでいると“楽しいコト”が、更に“楽しいコト”を引き寄せるのか~という感じで、どんどん楽しみが広がっていったのです。今では、横浜の良さも知り楽しみ始めました。そして大好きな地元、大好きな仲間のいるマンションに帰ってくるという感覚なので、通勤距離の事は気にならなくなりました!」(山本さん)

かつては何も知らない、誰も知り合いもいなかった街。 今では生まれ育った場所よりも馴染んだ私がいる。

3番目の登場は雑司が谷に暮らすイラストレーターで、グライフィックデザイナーとしても活躍する鶴丸のどかさんです。今では歩くと知り合いだらけという鶴丸さんですが、3年半前に雑司が谷に引っ越してきた時は全く未知の土地だったそうです。

ー「結婚して1年くらいは会社勤めをしていたのですが、主人の独立に合わせて自分も独立するタイミングで、引っ越してきました。家が職場になったことで、街に興味を抱き外出するようになったんです。そしたらどんどん街のことを知りたくなって。そこでまずは雑司が谷に住む友達を作ろうと思いました。どうしたらいいかなと考え、おしゃれでいろんな人が出入りしてそうなカフェに行こうと、コーヒーが苦手なのにもかかわらず『キアズマ珈琲』に通い、そこのマスターか常連のお客さんと仲良くなろうと計画を立てました。通い続けてカウンターに座っていたら知り合いができるかな、と思っていたのですが3週間たってもなかなかできなくて。その原因は時間を潰すのに読んでいた本でした。周りも声をかけづらかったみたいです。というのは、後からマスターに聞いたのですが。みなさんも人と仲良くなるには、本を持って行ってはダメです(笑)。それでもある時、閉店するタイミングで、隣に座っていた常連さんが一緒にご飯食べにいく? と誘ってくれたんです。待っていました!とばかりに行きますと」(鶴丸さん)

知り合いができたことをきっかけに、どんどん世界が広がった鶴丸さん。雑司が谷での仕事や暮らしはどのように変化したのでしょうか。

ー「雑司が谷は戦火を免れたエリアなので、ずっとここに暮らす、2代目、3代目が住んでいるんです。そして皆さんはとても街のことが大好きなんですよね。そんな皆さんから街の話を聞いているうちに、ますます私は街に興味を持ち、好きになり、次第に今のこの街の姿を絵に描きたいと思うようになったんです。そして最初のきっかけになった『キアズマ珈琲』にて展覧会をしていただけることに。そこからまた私の世界が広がりました。豊島区の面白い人たちが集まるコミュニティ&イベントの『としま会議』に出させていただいたり、雑司が谷MAPにイラストが採用されたり。最近では街を紹介するメディアを立ち上げたいと思い立ち、昨年末に『zodee(ゾディー)』というサイトも作りました。雑司が谷への愛が溢れて、たった一晩で作ったんですよ(笑)。以前は働いて帰るだけの場所だったのが、今となっては街を紹介する側に。自分自身、生まれ育った場所よりもよく知っているなと思うんです(笑)。あの時、勇気を出してよかったなと本当に思います」(鶴丸さん)

豊島区で、わたしらしさを叶える。 豊島区なら、わたしらしさが見つかる。

前半のトークが終わり、休憩を挟んで後半は3人への質問コーナーなどがあり、今回も大いにもりあがりました。これから何かを始めたい人や暮らし方を模索している人にとって、実際に自分らしい働き方、暮らし方を実践している3人のリアルな話は、とても有意義なものだったことでしょう。

そして豊島区には暮らしと仕事を上手に結び生活している人が他にもたくさんいます。小さなカフェやショップなどが多くあり、気軽に声をかけてお話しを聞いてみることができる、そんな気軽で身近な距離感が豊島区らしさのひとつかもしれません。今後もこのように豊島区で活躍する方を迎えたトークイベントを開催していく予定です。「働くと暮らすの交差点 vol.3」もどうぞお楽しみに!


<開催概要>

働くと暮らすの交差点[vol.2]ーとしまscopeオープニング記念イベントー

開催日時:2017年2月11日(土)13:00-15:00(開場12:30)
会場:日の出ファクトリー
主催:としまscope(豊島区)、日の出ファクトリー
運営協力:合同会社日出家守舎

日の出ファクトリー
「つくるひとが集う場所」として2015年にオープン。ワークショップや様々な教室、部活動などを行うシェアスペース。
http://hinodefactory.com/

ゲスト
[雑司が谷]
鶴丸のどか イラストレーター/グラフィックデザイナー
雑司が谷を拠点に活躍。地元歴3年半ながら、どんどん地域に溶け込み、活動中。最近、地元雑司が谷を紹介するメディア『zodee(ゾディー)』を立ち上げる。
ツルマルデザイン
zodee(ゾディ―)

[要町]
市川望未 のぞみんたべものきょうしつ 主宰
大手教育関連企業、小学校教員などでの経験を活かし、自宅にて子ども向け料理教室を運営。“のぞみん”の愛称で地元のお母さんや子どもたちに親しまれる。
のぞみんたべもの教室

[東池袋]
山本恵子 (株)アミナコレクション 宣伝広報・WEB ディレクター
東池袋に本社がある(株)良品計画に勤めた後、現在の会社に転職。職住近接の毎日から、横浜まで通う毎日に変わるが、あえて住まいは変えず、”地元”東池袋での生活を楽しんでいる。


前回の「働くと暮らすの交差点」vol.1のイベントレポートはこちらから