“個性”豊かな味噌に育てるための、大事なスタート

この日イベントに集まったのは、豊島区内外で暮らす・働く14組のメンバー。味噌づくりに以前から興味があったという人、学生時代に味噌づくりを経験したことのある人、そして友達に誘われてやってきたという人、参加の理由はさまざまです。また、「空き家活用のアイデアを探して」、「近所で味噌づくりをやってみたくて」など、自身もなんらかの活動をおこなっているorおこないたいという声も。夫婦での参加や、ちいさなお子さんを連れての参加も目立ちました。

プロジェクト発起人のひとりである福田さんは、ここ「明日館」のスタッフであり、今回のイベントの要でもあります。

味噌づくりにおいて重要な発酵過程。発酵期間の違いによる変化を見て、会場からはどよめきが。
−「今日はみなさんにも、同じ材料からつくった味噌を2キログラムずつ持って帰ってもらいますが、お家で発酵させるあいだにどんどん“個性”が出てきます。その過程を眺めているうちに、きっと味噌が愛らしく思えてくるはずですよ!」
そんな風に言われると、どんな“個性”に育つかワクワクしますね!とはいえ、まずは今日の味噌づくりが大事なスタート地点。みなさん簡単な自己紹介を済ませたところで、いざ、調理場へ移動します!



工程①「大豆をやわらかくなるまで煮る」

味噌づくりの工程は、大きく分けて4つ。

  1. たっぷりの水で戻した大豆を煮る。※親指と薬指で挟んで潰せるくらいのやわらかさになるまで
  2. 1のあいだに麹をほぐして塩を混ぜる。
  3. 大豆が煮えたら好みの細かさに潰す。
  4. 2と3を混ぜ合わせて、空気を抜きながら容器に詰める。

以上、簡単ですね!
できあがったものを日光の当たらない場所で保存しておけば、発酵が進み、半年後くらいから食べられるようになります。 工程①で大豆を水で戻すには6時間以上かかってしまうため、この日はあらかじめ水で戻してある大豆を、プロジェクトチームが大きな寸胴で途中まで煮てくれていました。


工程②「麹をほぐして、塩と混ぜる」

集まった14組のメンバーには、それぞれ大きなバットが渡されました。まずはそのなかに、麹500グラムを計って入れます。

麹をバットに移し変えたら、塊になっている麹をほぐしていきます。麹の計量には手こずってしまっていた子どもたちも、コネコネほぐすのは、どうやらお手のものといった様子。

麹を均一にほぐし終えたら、塩250グラムと混ぜ合わせます。
ちょうど作業を終えた頃合いで、どうやら大豆もできあがったようです。


工程③「仕上がりを想像しながら、大豆をつぶす」

調理場全体を、ホクホクとした香りが包み、鼻腔を刺激します。大豆も、先ほどの麹と同じようにバットに広げ、めん棒や手を使って細かく潰していきます。

実はこの時の潰し具合が、味噌の仕上がりを左右するとのこと。食感が残るくらい粗く粒立たせるのか、なめらかな舌触りになるようしっかりと潰すのか、各々が好みの仕上がりを想像しながら潰していきます。


工程④「すべてを混ぜ合わせて、保存容器に詰める」

30分ほど経ったあたりで、どの組も大豆との格闘に決着が見えてきたようです。仕上げに、好みの具合に潰した大豆を先ほどつくった塩麹と混ぜ合わせます。自宅で保存しながら発酵させていく過程で、カビの繁殖はつきものなのですが、この工程でしっかりと空気を抜くことがカビを味噌の表面だけに留めるコツだといいます。

しっかりと空気を抜きながら丸めたら、用意された保存容器に詰め込みます。「保存容器に投げつけるように入れると空気を抜ける」ということですが、的を外すと台無しなので、あくまで慎重に……。

保存容器たっぷりに入った味噌にラップをかければ、完成!
時間にするとわずか2時間弱。みんなで一緒にわいわいつくったこともあってか、あっという間でした。つくり方もシンプルなので、この日やったことを皆さん自宅でも実践できそうですね。


味噌づくりを介して、まちや人との関係を育んでいく

2時間弱みっちり集中して味噌づくりをおこなったので、いつの間にかみなさんお腹ぺこぺこのようです。
そんなこともあろうかと、「みそのわ」プロジェクトチームが、参加者が味噌づくりに勤しむあいだ、なんとご飯と味噌汁をつくってくれていました!味噌はもちろん、福田さんが自宅でつくった合わせ味噌。みんなで一緒におにぎりをつくって、
ー「いただきまーす!」

こうして、14組、28キログラムの味噌とともに、「みそのわ」キックオフイベントは無事終了しました。

「みそのわ」をまちに波及させ、育んでいく

イベントのはじめに福田さんが教えてくれたように、発酵過程こそが味噌づくりの難所であり、楽しみなところ。この日つくられた味噌は、参加者それぞれのお家でどんな風に育っていくのでしょうか。

「みそのわ」の発起人であるプロジェクトチームのひとり藤田さんにも、その想いを聞いてみました。

また、秋くらいには「味噌びらき」をする予定だといいます。

−「地域に根ざす、を実現したかったので、イベント一日限りの関係ではなく、そこから『育む』というコンセプトは必然でした。『味噌びらき』で集まるのももちろんですが、Facebookページやこれから開催する他のイベントで、きっと今日つくった味噌を介して、いろんなコミュニケーションが生まれると思うんです。このプロジェクトをきっかけに、昔でいう町内会のような、新しいまちのコミュニティーがいろんな場所で生まれてほしいです」

その場限りの関係ではなく、これから進む味噌の発酵のように、この日できたつながりをまちで育み続けること。それこそがこの日のイベントの狙い。これを皮切りに、そんな“みそのわ”がまちに次々と波及していくことでしょう。

文:高阪正洋
写真:西野正将


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