池袋駅に直結し、東口の顔でもある西武池袋本店ですが、これまでの豊島区との関わりを教えてください。

西武池袋本店の歴史は1940年(昭和15年)から始まりました。現在はターミナルデパートとして、豊島区民のみなさんはもちろん、通勤されている方、池袋に買い物に訪れる方など、1日に平日約17万人、土日で約20万人ものみなさんにご利用いただいております。昨年は、働く女性を応援する企画として、「女性のためのクールビズ」を、区役所のみなさんと一緒に行いました。ほかにも、選挙の期日前投票所の設置にご協力するなど、駅に直結というアクセスの良さをいかして、ショッピングだけでなく、みなさまの暮らしに身近な存在でありたいと思っております。実は今年で77周年を迎えるのですが、7月7日より7日間、全館をあげて記念企画を開催します。数字の7にちなんだお買い得品や、西武池袋本店の係長77人のおすすめ商品など面白い企画を盛りだくさん用意しています。

77周年企画、楽しみですね! 区民に愛され、たくさんの方が訪れる百貨店ですが、働いている方の数も多いですよね。森田さんが本店長として着任されてから「働き方改革」を実施されているとのことですが、具体的にはどのようなことを行っているのでしょうか?

「従業員ファースト」というスローガンを掲げ、働きやすく、働きがいがある職場環境を目指し、私が就任してからは、次の4つのことに取り組んでおります。

一つめは、係長、課長、部長の役職の123名と、1対1で対話の時間を設けたことです。ここまで大きな組織になると、全員とコミュニケーションをとるのはなかなか難しいのですが、一人ひとりに時間を設け、約3か月かけて、働く環境についての悩みや意見の交換を行いました。現場のリアルな話を聞き、社員にもフィードバックしていきたいと思っています。これは継続的に続けていく予定です。

二つめは、風土の改革です。365日営業している店舗ですので、例えばお子さんの行事などがあれば、土日の休みを取れるようにしたりと、育児、看護、介護での有休取得も進めています。上司が休まないと部下も休みづらいという空気を排除するために、上司が自ら率先して休みを取り、部下も取りやすいような雰囲気をつくることを促しています。休日は休息という目的もありますが、余暇を楽しむことが、結果として仕事に役立つことも大いにあると感じています。百貨店は商品・サービスをご提供する立場ですので、映画を観たり、家族やご近所の方との会話を通じて、世の中のトレンドやニーズを把握したり。そして何より、モノを考える余裕が生まれます。これは仕事の発想を拡げるのにとても有効だと感じています。

三つめは、売場間の壁をなくすことです。これは「ゾーンディフェンス方式」と呼んでいるのですが、縦の繋がりだけではなく横の繋がりも持たせ、隣同士の売場を互いに見守ることを意識的に行うことで、早番、遅番など、スムーズなシフト交代を可能にしています。

四つめは、社員食堂の充実です。福利厚生のひとつでもありますが、気持ちのよい空間と、美味しく充実したメニューを用意しています。実は、社員食堂は西武池袋本店の自慢のひとつでもあるんです! さらに食堂には大きな掲示板を設置し、会社の取り組みや、私の考えなどを掲示しています。社員食堂が私と全社員とのコミュニケーションの場にもなるといいなとも思っているからです。

働きやすい環境というベースをなくしては、働きがいは生まれません。社員が生き生きと活躍し、キャリアが形成できるようにこれからもどんどん「働き方改革」を行う予定です。

「イクボス」として、働きやすい環境づくりを実践され、社員の暮らしも大きく変化してきたことと思います。そしてさらに、お客さまへのサービスとして、本サイトのなかでもイベントを紹介しましたが、区とのFFパートナーシップ協定について、今後、どのような展開を予定していますか?

「時短メニュー」や「時短メイク」など、育休復帰された女性に向けたイベントをこれまでもいくつか行い、参加されたみなさんからはご好評をいただいております。百貨店は「モノ」を売る時代から「コト」を提供する時代へと変化してきました。例えば、単に炊飯ジャーをスペックだけで売るのではなく、その炊飯ジャーを購入していただくことで食事が美味しくなり、家族がハッピーになれる、そういう提案をしていかなくてはいけないと思っております。そういう意味でも、イベントを通して、みなさまにハッピーを提供できたらと。今後も、お客さまのお悩みを解決できるイベントを企画していきたく、6月に開催した区民ひろばでのランドセルの選び方講座の実績を踏まえ、より区民の方に近い場所で便利なイベントも展開できたらと考えております。

最後に、池袋のまちに期待することをお聞かせください。

池袋は、もともと多種多様な文化を受け入れる土壌を持っている街だと思っています。旧庁舎跡には大きな劇場もできますし、今後は、サブカルチャーも含めた、カルチャータウンとして、ますます注目されることでしょう。そして私たちは、女性一人でもカルチャーに気軽に浸ることのできる、そんな安心・安全な街へと発展していけるよう、ターミナルデパートとして貢献していきたいと思っております。

インタビュー:宮田麻子(豊島区女性にやさしいまちづくり担当課長)
文:田口みきこ
写真:西野正将

FFパートナーシップ協定についての記事についてはこちら


森田岳史

西武池袋本店 本店長
各地の店舗、法人外商部などを経て2017年3月に西武池袋本店長に就任。豊島区の掲げる「女性にやさしいまちづくり」を公民連携で推進するための「FF パートナーシップ協定(FF 協定)」を締結。休日には海外で暮らす孫とインターネット電話で会話するなど、“イクジイ”としての顔ももつ。西武池袋本店のおすすめスポットは屋上の「食と緑の空中庭園」。

西武池袋本店 https://www.sogo-seibu.jp/ikebukuro/