クリエイターの個性と可能性を東長崎のまちで活かす

代表のやしまかずこさんは、クリエイターやアーティストの拠点として親しまれてきたこのエリアで、ハンドメイド雑貨のセレクトショップ《Planet hand》、レンタルスタジオ《Armor’s Pink Door》を経営しています。自身もデザイナーで、「作家の自由な発想と、何気なくアートを飾る気持ちを大切にしたい」という想いから、このイベントを企画しました。

期間中に訪れる人は、展示店舗がわかるマップを片手に、作品鑑賞を楽しみながらまちを回遊できます。この秋開催された第4回『まち中つながる展示会』では、期間はじめの10日間、Planet handで合同展示会を開催。全ての作品が一斉に並び、お店と作品とをマッチング。そのあと約3週間は、各お店に作品が飾られ、まちがギャラリーになります。協力店舗は雑貨店・飲食店・薬局・銭湯・ヘアサロンとさまざま。そして、最後の3日間、再び1カ所に作品が集まり、交流展示会が開かれます。場所は《Kitaike gallery PORTFOLIO》。最終日にはクロージングパーティが開かれます。

協力店舗を募る際は、会の趣旨が浸透するまで業態の違うお店を一件ずつ回り、お店ごとの事情を聞きながらじっくり進めました。今では積極的に関わってくれるお店も出てくるほどです。お店には、作家やその友人が訪れ会話を楽しみ、普段立ち寄ることのない人にも知ってもらう機会になり、多くの交流が生まれています。

まち歩きを楽しむ人が、何かに気づいてふと足を止めてくれたら——素敵な発想と幸せはきっと日常の中にあるはず。やしまさんの温かな願いが伝わってきました。


依存症からの”回復支援”を通じて、再犯のない社会を創る

ー「人に紹介いただく時は『犯罪の金井さん』なんて言われます(笑)」と爽やかに話す金井さん。なぜ「依存症×触法」という重いテーマと向き合うようになったのか。それは、自身の父親がギャンブル依存症となり、借金を抱えた結果、罪を犯し逮捕された過去にあります。

自己の行動をコントロールできない“依存症”。まじめに働いていた人がストレスなどで依存症に陥り、家庭をかえりみることができなくなる…。子どもの頃の家族との経験を通して、「本人がしたことは許されることではないが、虐待を受けたり社会に受け入れられない経験をしたりと、加害者本人も被害者であることが多い」ことを知りました。そして、自分にできることや、救済する社会の仕組みはなかったかを考えるようになりました。

凶悪犯罪が1日に約15件発生し、毎日多くの笑顔が消えている。一方で、依存症を抱える人の数は、疑いも含めて400万とも500万とも言われる(厚生労働省の推計による)。 ー「これが平和だと言われている日本の現状です」と金井さん。この課題に長期的に取り組む団体も施策も不足していると感じ、自分が動こうと決意。根深い社会問題の解決には“事業”として継続的に支援する必要があることから、 “ソーシャルビジネス”という選択をしました。ヒューマンアルバがつくるのは、「治療・回復支援」「宿泊施設支援」「教育支援」「就労支援」の四位一体の仕組み。クオリティの高い機能を備え、依存症の回復に特化した施設を運営します。

もともと被害者だった人が加害者になって再犯を繰り返し、それが世代を超えて連鎖するという虚しい現実を断ち切りたい。『依存症からの「回復支援」を通じて、再犯のない社会を創る』というミッションを掲げました。 イタリア語で“夜明け”を意味する「アルバ」。金井さんの挑戦は始まったばかりです。


つながりを編み出す豊島区発オーガニックバンド

ー「メンバーが全員揃うことはほぼありませんが、アレンジに対応できるメンバーなので、そんな変化すらも楽しんじゃってます」と鳥山さん。オーガニックバンドと銘打つのは、環境に応じて構成メンバーを変える、有機的な演奏スタイルだから。見るたび聴くたびに違うのがあめすいの魅力です。

のびのびとバンド活動を楽しむ鳥山さんですが、高校時代は引きこもりに。「なぜ生きているのか」と自問する日々を過ごしました。しかし、「人生は、自分が楽しむかどうかで決まる」と気づいた19歳の時から音楽活動をはじめ、世界中の大自然を巡り、プロボクサーにも挑戦。「自分の心が揺れたもの」をとことん追求してきました。

現在、高校の英語教師をする鳥山さんは、生徒に伝え続けていることがあります。ー『やりたいことを「今」やろう』その想いは、音楽にとどまらない積極的な活動にも表れています。
ちょうど1年前、地域の人との繋がりをつくりたいと “としま会議”に足を運びました。その時の縁で、豊島区で活動をする《ツクモル》《スタジオぺぺ》《メジロック》と一緒にバンドのグッズを制作。こうした異分野とのコラボレーションも、有機的な繋がりを大切にし、新たな世界を広げるあめすいならではです。

そんな想いから生まれた『よるすい』という企画があります。3ヶ月に1度、仕事をしながらも芸術活動をする人が披露できる場で、音楽に限らず、マジシャンや劇団員、生け花の発表など驚きの顔ぶれ。ー「ぜひいろんな芸術を試食しに来てください!」とのことです。
今後、豊島区の各所でライブを開きたいと画策中の「豊島区発オーガニックバンド」の存在感がますます大きくなりそうです。


都電沿線に「まちのもう一つの食卓」を

鈴木深央さんはお店のコンセプトに共感し、2015年春、第1号の向原店のオープンに合わせて店舗運営に参画。「都電テーブルならでは」をゼロから創り上げてきました。
鈴木さんが店づくりでまず考えたのは、地域の子どもとお母さんたちのこと。バランスのよい食事ができるようメニューを組み立て、小上がりには絵本やおもちゃを用意するなど、子連れでも気兼ねなく過ごせる空間にしつらえました。また、お母さんたちが働きやすい仕組みづくりにも力を注ぎます。飲食店が混み合うお昼どきは、子どもが幼稚園や学校にいる時間帯。これを活かして、1日に1、2時間だけでもシフトに入れるよう、誰でもすぐに覚えられるシステムにし、全体のオペレーションを組みました。

最近では、「食卓がより楽しくなるように」と、向原店で四季折々のイベントをプロデュースしています。農業や漁業の生産者から食材の魅力を直接聞き試食する会や、料理研究家と調味料を作る会などを開催。「食」と「文化」を融合したイベントでは、「子どもたちが騒いでも大丈夫!」と、親子で生演奏を聴く会や、落語会、上映会などジャンルはさまざま。どれも催しに合わせた食事をいただける企画です。

実は、もう一つ活動の場がある鈴木さん。ダウン症の人たちが油絵を描くプライベートアトリエ《アトリエ・エレマン・プレザン》の現場スタッフとして、平和的で調和的な感性を持つダウン症の人たちの文化が、社会に溶け込むよう発信しています。 「ちょっと楽しい」が増えればきっと暮らしが豊かになる。鈴木さんの優しい感性で紡がれる小さな「きっかけ」。これからもとっても楽しみです。


“つくる賃貸”でまちをもっと楽しく

会社員だった木本さんは2012年、大阪への転勤を機に、兵庫県宝塚市の不動産賃貸業を営む実家に移住。所有していた不動産は、築50年ほどの店舗兼アパート4棟と駐車場で、空室が目立ち手放す寸前でした。木本さんは、自ら家づくりをした体験を活かせるのではと考え、賃貸アパートのリノベーションに踏み切ります。再生のコンセプトは、自然無垢素材=innocenceと、従来への挑戦=innovationとで、INNO HOUSE。自然素材を使い設備もスタイリッシュに。「自分が住みたいと思える家」を形にしたところ、完成を待たずに満室になりました。

完成直前、家づくりの楽しさを味わってもらおうと、最終のワックス掛けをイベントにし、入居者たちと一緒に仕上げました。この共通体験によって入居者同士が仲良くなり、小さなコミュニティができました。この時入居者の一人に「こんないい家をたくさんつくって欲しい」と言われたことで、『住む人の視点に立った賃貸住宅』をもっと増やしていこうと決意。勤めていた会社を辞め、《DAMAYA COMPANY株式会社》を立ち上げました。

無垢の床や土間などミニマムな内装にしたINNO HOUSEは、自分らしい部屋づくりを楽しめます。それは暮らしを楽しむことにつながり、やがてまちに興味がわく。「つくる」という能動的な活動が繋がると、自然とコミュニティが生まれ、入居者たちによるイベントが開かれ、カフェやショップが集まりました。1つの物件がまちと繋がったこの経験から「つくる賃貸」を提唱。INNO HOUSEをベースに直径100メートルのエリアに同様の賃貸物件をつくり、まちづくりを実現しました。

現在は要町に拠点を移した木本さん。豊島区でも空き家・未利用地を活かしたまちづくりの活動が広がっています。暮らしを楽しむ賃貸住宅と、楽しいまちが増えることを期待しています!


この日会場となったシェアードワークプレイス《co-ba ikebukuro》の様子。普段並んでいるオフィスの机は片付けられ、約40名の参加者は木のフロアに座ってリラックスした雰囲気でした。

文:後藤 菜穂
写真提供:としま会議



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