雑司が谷が一番盛り上がる日、それが10月18日の『御会式』です。街中に太鼓の音が鳴り響き、巨大くらげのような万灯が夜の闇に浮かび上がる。そんな御会式は意外と同じ豊島区内でも知られていません。
御会式を知らない・参加したことがない、それじゃもったいない!
今年から御会式に参加できるように、トリセツを御会式連合会の副会長さんと考えてみました。


某珈琲店にて

いつもの珈琲店で私は10月に行われる御会式(おえしき)について想いをめぐらせていた。この一大イベントは雑司が谷の街を熱気で包み込み、鬼子母神へと続く道は無数の灯を纏った万灯(まんどう)と太鼓の音で埋め尽くされる。雑司が谷で暮らす者なら誰もが知る、一年の中で街が最も盛り上がる3日間である。だがしかし、不忍通りを一本渡れば『御会式』の読み方すら知らない人もいるし、びっくりガードを越えればその催し自体が知られていない。故に外から越してきた者は初めて目にする御会式に面食らう人も多く、そしてどうやって参加したら良いのかもわからず「なんだか不思議な祭りがあるんだな」とその3日間をやり過ごしていると聞く。

私もそんな『外から越して来た者』の一人だった。私は幸運にもこの珈琲店で御会式参加のきっかけをつかみ、過去3回は太鼓を叩き、万灯とともに市中を練り歩いている。御会式は見るよりやるほうが絶対に楽しい!この楽しさを広げるべきである!半ばお節介のような使命感に燃えた私は、目の前でネルドリップをしていたマスターに相談を持ちかけた。私の御会式の参加のきっかけを作ってくれた彼に、『御会式のトリセツ』を作るなら誰に相談すべきかアドバイスを求めたのである。

数週間後、いつもの珈琲店の2Fで、私は御会式連合会副会長の関口氏と向かい合っていた。関口氏は何を隠そう私がお世話になっている大門宮元講の*講元(こうもと)である。非常に優しく気さくな上、俺がケツを持つから思い切りやれ!という気っ風のよい御仁だ。今回の『御会式のトリセツ』作りにも快く協力してくださった。(*講元=講の頭)



御会式ってなに?

まず始めに御会式とは何かを説明しよう。
よく勘違いされるが、御会式は『祭り』ではない。御会式は『法要』である。
10月13日に日蓮上人が入滅した池上本願寺を中心に日蓮宗のお寺で行われている。
雑司が谷では毎年10月16日、17日、18日に行われている。一説によると入滅の知らせが届いたのが18日であるからだそうだ。ちなみに3日間御会式法要を行っているのは全国でも雑司が谷だけ。元々16~18日に鬼子母神で縁日が立っていたからと言われている。

御会式に欠かせない万灯(まんどう)と呼ばれる沢山の明かりを灯した大きな行灯は、しだれ桜を模している。これは日蓮上人入滅の折、10月だというのに桜の花が咲いたという言い伝えからきている。たくさんの万灯が秋の夜に浮かび上がる光景は非常に美しい。

 
 

御会式参加にはずせない、講(こう)ってなに?

御会式に参加するには、講社に入る必要がある。
講社(講)とは信仰の団体のことを指すが、隣組のような地域組織をイメージしてもらえれば良い。御会式に参加するためのチームのようなものだ。雑司が谷地域には24の講社があり、そのうち21講で連合会を結成している。ちなみに、新しく講社を作りたいと思ったら、まず法明寺さんに許可をもらい万灯を用意し、入魂していただければ講を作れるとのこと。

講に入ったら、何かしなくちゃいけないの?ちょっとそれは難しいかも…とお思いのアナタ。もちろん本格的に参加しようと思ったら万灯の準備や色々なお手伝いも必要だが、1日だけ参加してみたい初心者は『その日だけ参加』も可能。後述するが、まずは1日だけ参加するにもどこかの講に入れてもらうことが必要ということだけ覚えておいて。


どうやったら講に入れるの?

御会式参加には講に入る必要があるとわかったところで、肝心の講への参加の仕方である。
まずは24の講の中から、自分に合った講を探すことから始めていただきたい。と、言われてもどんな講があるかもわからないので途方にくれてしまうことだろう。本来、講は地域に深く根ざしているため、地元育ちの友人、近所の優しいオバ様やオジ様に相談したり、顔なじみの喫茶店やバーなどでマスターに相談してみるなど、ツテを頼るのが一番安心だ。お子さんがいる家庭なら、お子さん伝いに探してみるのも良いだろう。

しかし、近所づきあいが希薄になりつつある現代、ツテを作るのが大変だ!という方ももちろんいらっしゃるであろう。雑司が谷には住んでいないけれどぜひ御会式に参加してみたい!という方もきっといるはずだ。
そんな方へのトリセツとして今回関口さんに相談したところ、関口さんが御会式連合の窓口となってくれることになった。もし、御会式で太鼓を叩きたい!これを機に地域のことを知りたい!という方は鬼子母神参道のケヤキ並木にある『雑司が谷案内処』を訪ねていただきたい。こちらで関口さんの連絡先を聞いて相談すれば、関口さんがあなたに合った講を紹介してくれるはずである。
>>雑司が谷案内処リンク

講に入るといっても、必ず何かをしなければならないというわけではない。事前の手伝いができるなら行って親睦を深めるのも良いが、講元に挨拶をした上で当日楽しむだけでも良いというのが関口さん談。何かトラブルがあった場合は講元が責任者となるため、講元への挨拶は必ずしよう。また、参加させてもらう気持ちとして奉納金を納めておくとなお良い。


御会式当日は何が必要?

参加の意思が固まったら準備であるが、「参加する」という意思だけでもうほぼ準備は完了である。
御会式に必要なものは『太鼓とばち』だが、これは各講にいくつか貸出用も用意してある。あらかじめ参加の意思を伝えて借りたいという旨を伝えればOK。もし参加してみてこれからもずっと参加したい!と思えば明治通りの氷屋さん『外口氷室』にて購入可能。

また、太鼓のリズムがわからない…不安、という方は当日少し早めに詰所に行けば教えてもらえるし、多分ぶっつけ本番でもすぐ覚えられるだろうから安心してほしい。

参加する際の格好だが、いわゆる祭りの格好があればベストだがTシャツでもOKだ。各講で揃いの半纏もあるが、こちらも太鼓同様「この講でやっていく!」と思ってからでいいだろう。足元は結構歩くことになるので歩きやすい靴がおすすめ。


御会式の未来はアナタにかかっている?

今でこそ豊島区の無形民俗文化財にも指定されている御会式だが、一時は衰退の危機を迎えたこともあった。50年前には万灯の参加が3~4個しかなく参加者もまばらという状態だったそうだ。危機感を感じた有志の方や法明寺さんが、露天商をもう一度呼び集めるなどの努力をし、その甲斐あって今の盛況ぶりを取り戻している。

だが近年、参加者がまた減少傾向にあるそうで、御会式連合としてはぜひ参加者を増やしたいと思っているとのこと。特に高校生~大学生の参加者が少ないため、大歓迎だそう。
昔と比べ、外からの参加もかなり増えているとのことなので雑司が谷地域にお住まいでなくても、雑司が谷に興味がある、祭りが好き、豊島区の無形民俗文化財を体験したいなど動機は何でも結構、気軽に参加してほしい。最初は観るだけでも楽しい。写真に自信のある方は御会式写真コンテストに挑戦するのも楽しみ方のひとつだ。


御会式の3日間、どの日にちがおすすめ?

毎年10月16日、17日、18日に行われる御会式だが、一番盛り上がりおすすめなのは最終日の18日。

16日は各講社が地元への挨拶を兼ねて町内を回る日。回るルートは講社それぞれ。

17日は御会式連合主催の練り歩き。鬼子母神像が掘り起こされたとされている清土鬼子母神(お穴の鬼子母神)から出発し、不忍通りから目白通りに入り、そこから参道へ入るルート。18日に比べると参加者は少なめ。

18日は法明寺主催の本命日。池袋の西武池袋本店あたりから明治通りにずらりと並ぶ行列は圧巻。明治通りから千登世橋へ登り、目白通りから参道へ入って行く。


御会式参加の注意点

楽しい楽しい御会式だが、守らなければならないルールがある。
御会式は日蓮上人の入滅を偲ぶ宗教行事であるため、禁酒・禁煙厳守である。また近隣の方々に迷惑をかける場所での用足しも厳禁。喧嘩などもご法度である。
これらのことが守られないと、御会式を気持ちよく開催することが出来なくなるためくれぐれもご注意いただきたい。


御会式の楽しみ方、ゾディーの場合。

さて、ではこの3日間を実際に私がどんな風に過ごしているかを紹介しよう。

16日はのんびり街歩き。
御会式が始まるという気持ちの高ぶりが、街のあちらこちらから感じられてワクワクする。

17日は観光気分。
写真を撮ったり、鬼子母神堂境内の屋台で焼き鳥をつまみにビールを飲んだり、色々な講を観察したりして楽しむ。子供達が多く、歩く速度や太鼓の音も少しゆっくりでほのぼのする講や、やんちゃな大人が多めで太鼓のリズムもノリノリな講、纏(まとい)が格好良くキマっている講など、各講のカラーの違いを楽しむのもまた一興。

18日はおもいっきり参加。
夕方早めに詰所に行って講元に挨拶、太鼓を貸してもらう場合はこの時に借りる。御会式新聞で全体の出発時間と自分の講の順番を確認して、19時すぎにゆるゆる向かう。万が一出発に間に合わなかった時は、行列に沿って歩きながら自分の講を探して途中から入れてもらえばよい。トイレ休憩なども自由なので、出入りは割と簡単。
明治通りから千登世橋を上がって目白通りに入り、参道が近づくと太鼓のリズムは一層盛り上がっていく。ケヤキ並木にさしかかる頃にはピークに。もう汗びっしょり。水分補給もわすれずに。
境内に入り、鬼子母神堂の拝殿で「南無妙法連華経」を唱えながら太鼓を叩き、一旦ゴール。このあと法明寺にお参りをしに行きます。
太鼓を叩きながら詰所まで戻り、もうひと盛り上がりしたあと、講元からの挨拶を経てみんなで打ち上げ。婦人部のみなさまが用意してくれた料理やお酒を飲んで楽しく過ごすのである。


今年の御会式、どう楽しむ?

色々と説明して来たが、ゾディー的『御会式のトリセツ』は以上である。
まずは観て楽しむも良し、入りたい講を探して太鼓を叩くも良し。
今年の御会式は10月16日(月)、10月17日(火)、10月18日(水)。
平日ど真ん中だが、とにかく雑司が谷が熱くなるこの3日間を体験しに来てほしい。

もっと詳しく御会式のことを知りたい!という方は、御会式連合が発行している御会式新聞をご覧いただきたい。
御会式新聞は10月上旬ごろに発行され、雑司が谷案内処や鬼子母神堂でもらえる。
また、御会式新聞ホームページでも閲覧可能。

>>御会式新聞ホームページリンク