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素材本来のおいしさを伝えるのは、私たちにとっても贅沢なこと。

もうひとつのdaidokoroが入っているWACCA池袋は、文化芸術のまちとして刻々と変化する池袋のシンボル的施設のひとつ。多様化する食・文化・アートを積極的に受け入れ、発信しています。
もうひとつのdaidokoroは、“都会に暮らすあなた”のために、おいしい食事やアットホームな雰囲気、様々な用途で使える本格的な設備を提供してくれる場所。2017年には、地域コミュニティづくり・社会貢献活動部門でグッドデザイン賞を受賞しています。

また、以前としまぐらし会議プロジェクトを応援するトークサロン第2弾をこの場所で開催した際に、としまぐらし会議で生まれたプロジェクトで収穫された野菜を、ぜひ参加者の皆さんに食べてもらいたいという想いを受け止めてくれ、「おむすびセット」とお味噌汁とともに、「活動のための場所が必要な時にはサポートします」というありがたい言葉もいただきました。人と人との距離がぐんと縮まる催しができるのも、自由度の高いこの場所ならではです。

さて、そんなもうひとつのdaidokoroが大切にしている想いや価値については、長年料理長を務めるハルさんに伺うことにしましょう。

ハルさんがもうひとつのdaidokoroで働こうと思ったきっかけについて、教えてください。

-「ここの厨房を監修したのが、たまたま、私が通っていた料理教室の先生だったんです。それで声がかかりました。お話を聞いて、「三方よし」というコンセプトに惹かれたのも大きかった。売り手よし、買い手よし、世間よし、という商売の姿勢ですね。もうひとつのdaidokoroは、誰もが幸せになれるよう絶対に妥協はしないという姿勢がたしかに感じられた。そこに心を動かされたんです。」

普段は、どのようなお客さんがお店を利用されますか?

―「老若男女、本当に様々なお客さまがいらっしゃいます。毎週日曜日に必ず、おばあちゃん、お母さん、娘さんの3世代で来店するご家族があったり、子ども連れのパパがいらっしゃったり、また、曜日によってはスーツを着た男性の方が多いという日もある。もちろん、池袋の外からも、多くのお客さまに来店いただいています。」

だれもがゆったりと時間を過ごせる空間が、幅広い層を受け入れている要因のひとつのようにも感じます。

―「野菜をしっかり摂れる健康的な食事って、都会では貴重ですよね。やはり、それを求められているのを感じます。」

ここで食べられるのは日本らしい料理ですが、ひと言に「和食」というのともどこか違っているように思います。

―「いわゆる料亭のような日本らしさではなくて、日本の昔ながらの家庭の味です。お母さんが冷蔵庫を開けて、「今日は何を作ろう?」と決めるのと同じように、ここのメニューもその日の食材によって変わります。また、作り手によってもいろんな料理ができあがる。まさに家庭の味です。3世代でひとしく受け入れられるのも、そのためかもしれません。」

こだわりについて教えてください。

―「野菜をはじめ、素材そのもののおいしさをダイレクトに伝えたいので、なるべく味付けはしないようにしています。農家さんたちも、ドレッシングをかけすぎると野菜本来の味がわからない、と言います。だから、私たちが素材のおいしさを伝えられれば、それは農家さんにとっても幸せなこと。私たちにとっても、とても贅沢なことだと思っています。

もちろん、一切調味をしないというわけではありません。ただ、塩や味噌など、できる限り日本古来の調味料を使うようにしている。そして、ドレッシングなども私たち自身がオリジナルレシピで作っています。お客さまによっては、ぬかや調味料の作り方を、わざわざ厨房のほうまで聞きにいらっしゃいます。」

こだわりを貫くにはご苦労もあるのでは?

―「高い質を保ちつつ、価格を抑える。それがすごく大変です。でも、そこは主婦の知恵。胸肉を削いでパン粉をつけることでボリュームを出すとか、調理上の細かな工夫をしています。
また、仕入れにも手間をかけています。たとえば、大根の葉も、余さず食材としていただいたり、私自身が畑に足を運んで収穫のお手伝いをしたり。(これらの「豊作野菜」は美味しさを逃さないよう調理され、ランチに提供されます。)時間と手間をかけることで、その分低価格でおいしい食材を仕入れることができています。」

お店はランチ利用だけでなく、イベントなどをおこなうこともできるのですよね?

―「何かを始めたいという方のために、奥のスペースをワークショップやイベント用に貸し出しています。特に、地域のみなさんには積極的にご利用いただければと考えております。また、お店としても料理教室などを定期的に開催していて、私もたまに講師として参加します。赤ちゃん連れで参加できるイベントってなかなかないので、そういう意味でも重宝していただけていますよ。」

食べるだけでなく、様々なアプローチでたのしみを届けていらっしゃるんですね。例えば、畑での収穫から食卓までの一連を体験出来るイベントがあれば、池袋においては貴重な体験になりそうです。

―「畑に行って収穫をして、調理して食べるまでというと、都会に暮らす人はなかなか経験がありませんよね。特に子どもたちにはそういった体験をしてもらいたいですね。最近は、野菜に土が付いているイメージができない子どももいるそうです。実際、お店に収穫したそのままの形で野菜を置いていると、子どもたちは珍しがってなかなか手を離さないんですよ(笑)」

オープンしてから丸3年が経ちましたが、今後の展望を教えてください。

―「もともとは、赤ちゃん連れのお母さん向けに、素材のおいしさを引き出したお料理とゆったりとした空間を提供してきました。それが、いまでは広く地域の人にも、そして外から観光でいらっしゃる方にも普遍的に受け入れられていて、本当にうれしく思っています。私たちの提供するものには、時間と手間がかかりますが、丁寧にお料理を提供したり、一人ひとりと親身に接したり、といったことは、これからも変わらず大事にしていきたいと思っています。」

店長 川村要輔さん

池袋では、2020年オリンピック・パラリンピックに向けた「国際アート・カルチャー都市」の取り組みで、Hareza池袋や劇場公園などの施設がオープンし、いままで以上に多文化が交流するまちになりそうです。 新たに池袋に来る方でも安心して食べられるような、そして、都心の真ん中で皆さんがホッと一息つけるような、嘘のないお食事を提供できる場所づくりを、これからも続けていきたいと思っております。

インタビュー:宮田麻子(豊島区「わたしらしく、暮らせるまち。」推進アドバイザー
文:髙阪正洋
写真:大野隆介


もうひとつのdaidokoro
http://daidokoro.wacca.tokyo/
http://wacca.tokyo/leasedaidokoro/index.html
としまなひとびと
 
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