夏の暑さと地球温暖化は関係あるの?

夏の暑さは地球温暖化と関係しています。気象庁の統計によると、東京都の真夏日(日最高気温30℃以上)は100年あたり16日、熱帯夜(日最低気温25℃以上)は100年あたり27日増加しています(これには、地球温暖化だけではなく都市化の影響も含まれています)。今後もこの傾向は続き、このまま地球温暖化の勢いを止めることができなければ、豊島区が含まれる東日本太平洋側の夏の気温は、20世紀末に比べて21世紀末の真夏日は55日、猛暑日は24日、熱帯夜は45日も増えてしまうと予測されています。20世紀末の東京の真夏日は50日程度、熱帯夜は30日程度でしたが、このままでいくと将来の東京では真夏日が3ヵ月半、熱帯夜が2ヵ月半と、暑さが厳しい長~い夏になってしまうことになります。

出典:
過去のトレンド:気象庁(2015) 気候変化レポート2015
http://www.jma-net.go.jp/tokyo/sub_index/kikouhenka/pdf/1_1_kantokoshin.pdf#page=30

将来予測:気象庁(2017) 地球温暖化予測情報 第9巻
http://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/GWP/index.html


地球温暖化が進むと、わたしたちの生活にどんな影響があるの?

地球温暖化が進むと、わたしたちの生活にも様々な影響が出てくると考えられます。たとえば極端な現象がより多くなります。近年、滝のように降る強い雨が増加傾向にありますが、今後もこの傾向は続きますし、これまで経験したことのないような豪雨や雹(ひょう)が降ったり、場合によっては浸水することもあるかもしれません。温暖化する世界では気象現象が激化します。
また、夏がより暑くなるので、熱中症の危険も増します。筑波大学の研究によると、8月の東京での日中の熱中症危険度を示す暑さ指数(WBGT)は、現状では警戒レベルですが、21世紀末の将来気候では厳重警戒レベル(熱中症患者が著しく増加するレベル)になると予測されています。特にお子さんやお年寄りを暑さから守ることが重要になってくるでしょう。
海外の温暖化影響も他人事ではなくなる可能性があります。日本の食料自給率はカロリーベースでわずか38%。海外での温暖化影響による農作物被害で日本向け輸出量が減れば、私たちの食卓や家計も直撃を受けるかもしれません。

出典:鈴木他(2015)WBGTに基づいた日本の暑熱環境の将来予測.日本生気象学会誌,vol.52,59-72.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/seikisho/52/1/52_59/_pdf/-char/ja


これから先の世代のために、わたしたちにどんなことができるのでしょうか?生活のなかで気をつけるべきポイントがあれば教えてください。

(1)温室効果ガスを極力出さない生活を

まず何といっても温暖化の原因になる温室効果ガスを極力出さないことです。子どもたち、孫たちを温暖化の脅威にさらさないためには、今の大人ががんばらなければなりません。

  • 生活の中での省エネを習慣化しましょう。ただし、エアコンをガマンしすぎてはいけません。
  • 家電は古いものを長く使うより、より効率のよいものに買い換えた方が地球にもお財布にもベターです。
  • 電気会社を選べるようになりました。選ぶ際には電気が何から作られているか(電源構成)も意識しましょう。同じ火力発電でも天然ガス火力のCO2排出量は石炭火力の半分です。再生可能エネルギーの割合の多い電気会社もあります。
  • 自分で発電することも選択肢に。自宅の屋根に太陽光パネルをのせましょう。のせる屋根がない場合は、NPOの太陽光発電屋根貸しプロジェクトのパネルオーナーになる手もありますよ(売電収入と投資額の差で見ると、預金するよりオトクかも)。
  • 身近な緑をもっと増やしましょう。植物は温暖化の原因になる二酸化炭素を吸収してくれるだけでなく、夏の暑さをやわらげてくれます。

(2)温暖化の影響に備えましょう

  • これまでに経験したことのないような豪雨が降る可能性があることを、子どもたちにも伝えていきましょう。自治体が配布している洪水ハザードマップを確認して、(地震と同様に)いつきてもおかしくない大雨・洪水にどう備えるか家族で話し合いましょう。
  • 今後は夏が長くなり厳しい暑さの日も多くなっていきます。これまでの暑さ対策だけでなく、長期的な建物対策も考えてみましょう。家の断熱・遮熱、日よけ対策など、色々な方法が検討できます。

豊島区洪水ハザードマップ(洪水避難経路)
https://www.city.toshima.lg.jp/042/bosai/taisaku/hazard-map/documents/281101hazardmap.pdf

豊島区が進めるクール・チョイス

豊島区は、クール・チョイス(COOL CHOICE)を進めています。
クール・チョイスとは、温暖化対策のために、省エネ・低炭素型の製品やサービス、行動などの「賢い選択」をする取り組みです。クール・チョイスアクションをサポートする省エネ啓発機器の貸し出しなども行われていますので、取り入れてみてはいかがでしょうか。

豊島区 クール・チョイス(COOL CHOICE)
https://www.city.toshima.lg.jp/149/machizukuri/shizen/coolchoice/1703221309.html


日本気象協会は、地球温暖化対策のためにどのような活動(事業)をしているの?

日本気象協会は、気象情報をベースにした調査・解析や、未来の環境を予測するコンサルティングを行っています。具体的にはIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第1作業部会の国内支援事務局として活動しています。IPCCは、世界気象機関と国連環境計画のもとに設立された組織で195の国と地域が参加しています。各国政府の気候変動政策に科学的な基礎を与えることを目的に5~7年ごとに気候変動に関する最新の科学的知見についてとりまとめた報告書を作成しており、現在第6次評価報告書を作成中です。
また、環境省の「地域適応コンソーシアム事業」や文部科学省の「気候変動適応技術社会実装プログラム」に参加し、気候変動の影響評価や適応策の社会実装に貢献しています。

地球温暖化ってどのくらい進んでいるの?

地球温暖化は確実に進んでいます。昨年の冬、日本はとても寒かったので、「もしかしたら温暖化なんてしていないんじゃないの?」と思われる方も多いかもしれません。年によって暖冬だったり寒冬だったり、日本は冷夏なのにヨーロッパは猛暑だったりしますが、地球全体の平均としてみると、年によってアップダウンしながらも、地球の平均気温は上昇しているのです。約1世紀前(1880–1920年)と比べて地球の気温は約1℃高くなりました。100年以上の間に1℃と聞けば、わずかでゆっくりした変化のように思えますが、地球の時間のものさしで見ると、これは大変急激で大きな変化なのです。下の図は最終氷期が終わり人類が文明を築き始めた時期(約1万年前)から現在までの気温の変化です。近代(図の赤い部分)の気温上昇がいかに並外れて大きいかがよくわかりますね。この変化の主な原因は温室効果ガスを大量に排出し続けている人間活動にあります。自らが作り出した原因により、人類は今これまでに経験したことのない激動の環境の中にいるのです。

  

出典:Hansen,J. et al. (2017): Young people’s burden: requirement of negative CO2 emissions. Earth Syst. Dynam., 8, 577–616.
https://www.earth-syst-dynam.net/8/577/2017/esd-8-577-2017.pdf


FFパートナーシップ協定の第一弾として、豊島区×日本気象協会推進「熱中症ゼロへ」 では、南池袋公園でのサーモカメラによる観測企画を予定しています。打ち水前後の様子をサーモカメラで撮影すると、どのようなことが分かるのでしょうか?

江戸時代前期の俳諧師で松尾芭蕉の弟子であった宝井其角が、「水うてや蝉も雀もぬるるほど」という句を詠んでいます。豪快な打ち水の情景が目に浮かびますね。打ち水をすると、水が蒸発するときに必要な熱を周囲から奪うため、水をまいた地表面の温度が下がります。その状況を赤外カメラで“見える化”しようというのが、この企画の目的です。打ち水の効果は、どのように見えるでしょうか?ぜひイベントに参加して、その目で確かめていただければと思います。

サーモカメラで見る!打ち水効果の観測実験

 

おわりに…

地球温暖化問題は、現代を生きる私たちの誰もがその原因を作り、誰もがその影響を受けるという性質を持っています。二酸化炭素の累積排出量と世界平均気温は比例関係にあるので、未来を生きる人たち(子どもたち、孫たち、ひ孫たち…)がどのような影響を受けるかは、今後の私たちの行動にかかっています。二酸化炭素を出さずに暮らせるようになることは決して簡単なことではありません。けれども、一滴の水が集まって太平洋になるように、ひとり一人の不断の努力を世界中で結集すれば未来の人たちを救うことができます。皆さんも、その一人であることを忘れないでいただければ嬉しいです。

日本気象協会 気象予報士
工藤 泰子

日本気象協会における環境分野のプロフェッショナル。
プライベートでは孫がいるワーキングマザーならぬ、ワーキングばぁばです。

FFパートナーシップ協定とは

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