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まちと人がつながるゲート

無数の人が行き交う駅。 とりわけ池袋駅は、日本有数の乗降客数を誇る巨大ターミナル駅。 今はコロナの影響で人影もまばらになっていますが、いつもなら多くの通勤客や買い物客で賑わっています。

3月の22日間にわたって池袋ローカルゲートという試みが行われました。
JR 池袋駅東口・びゅうプラザ跡地で3/8〜3/29までの期間限定のローカルショップとして、池袋界隈を中心に豊島区内のさまざまなニュープレーヤーたちのアイテムを集めて販売。駅を利用する人たちが、この場所をきっかけにして、まちの新たな発見や面白さを知り、まちを巡ってみる。日替わりでそのコンテンツを変えながら、駅とローカルの新しい関係性づくりに挑戦するという試みです。

この企画を仕掛けたのは、まちの個性を引き出しながら、駅とまちの新しい関係性を創る試みを展開しているJR東日本の東京感動線プロジェクト。今や日本で一番有名な路線ともいえる山手線ですが、そんな山手線を単に機能的に優れたものだけでなく、情緒的にも愛着がわく、個性的で心豊かな都市生活空間に することを目的にして 2018 年に立ち上がりました。このプロジェクトで軸にしているのが、山手線の各駅が持つ「個性」を引き出すことと、沿線の人やまちとの「つながり」を創りだすこと。 池袋の個性を考えるきっかけになったのが、同プロジェクトが取り組む「TOKYOSEEDS」というプロジェクト。海外からデザイナーを招いて駅社員と共に沿線の魅力を世界目線で探る企画なのですが、2018年に池袋駅が対象となった時に、華やかな池袋駅周辺にある個性的な「ローカル」が浮き彫りになりました。

JR 東日本 東京支社 事業部の道正俊明さんは、こう語ります。

―「今回、コロナウイルスで人々の外出が制限され、結果的に駅に人がいなくなるという状況になりましたが、実は池袋ローカルゲートは近い将来、人口減少や、働き方改革で通勤・通学する人が激減した時に駅はどうあるべきかを想定して企画したものでした。今の駅のように移動者向けに消費を喚起するショップだけではなく、住んでいる地域の方にとって駅がどうあるべきかを考えた結果、JR 主導ではない、沿線の皆さんが主役になれる企画としました。 結果、私の予想をはるかに超える化学反応が日替わりで起こり、本当にたくさんの地域の方が「移動のついで」ではなく「人に会いに」駅に訪れて頂いたことは本当に感動しました。あの場所は JR がつくるものではなく、地域の皆 さま全員で作り上げたものだと思っています。結果的に東京感動線のコンセプトである池袋の「個性」を発揮できる企画になり、次の企画へのつながりも生むことができています。」

そこで今回は JR ではなく「沿線のひと・まち」が主役になる場所を駅に作ろうと、この企画を任されたのが「つなぐ専門家」としてとしま会議 を中心にさまざまな活動でまちとまちの人々と間に新しい循環を作り出している中島明さん。

中島さんはこう語ります。

―「2014 年夏から、まちの新しいプレーヤーを紹介する「としま会議」という トークライブ&パーティーをはじめるようになってから、僕自身、このまちで過ごすのが本当に楽しくなりました。最近思うのは、豊島区の面白さは、ターミナル駅であり繁華街でもある池袋と、その周辺の個性あるローカルタウンのそのグラデーション。繁華街を抜け、駅から少しだけ足を伸ばすと、そこには、住宅街が広がり、個性的なプレーヤーたちが、それぞれの”らしい”活動を 繰り広げていることに気づかされます。「JR 池袋駅のびゅうプラザの跡地を活用しないか?」と相談された時、ナショナルブランドが立ち並ぶ池袋駅の中に、そんなまちの人たちのコンテンツをインストールしたら、きっと面白い化 学反応が起きるのではないかと思ったんです。世界第二位の乗降客数と言われる池袋駅に、ローカルへの入り口をつくる。「池袋ローカルゲート」をきっかけにして、まちの魅力を知ってもらい、もっとまちを巡ってもらいたいという想いを込めて、今回の企画をつくりました。 」

日々、変化し進化する22日間

新型コロナウイルスの影響から、当初予定されていたイベント・ワークショッ プ・飲食の要素を排除して、物販店舗として直前に大幅な方向転換をしたものの、豊島区中から集めた取り扱いアイテムは 200 点以上。物販中心のローカル ショップとしてオープンしたこの場所は、日替わりでコンテンツが更新されました。

まちの人たちがまちに出て、そのまちの人たちが手をかけて作ったものを手に取る。
即興的に始まるコミュニティラジオ、ライブパフォーマンス、アーティスト同士のコラボ実演、BGM の生演奏。 その時、その場所でしか味わえない空間、モノやコトを体験する。
駅という場所で、日々そこに集い、関わる人たちとの間で新たな化学反応や循環が生まれていきました。

区内在住で世界を旅するイラストレーター織田博子さんはほぼ毎日のようにこの場所に通いました。

―「池袋ローカルゲートは、コロナの影響を受け、企画書も計画もすべて白紙になってしまった。なにもないところから、その場にいる人たちの情熱とクリエイティビティで形ができていく。その蠢くような、新しい何かが常に生まれているような、熱い空気が充満していました。シェアオフィスやイベントの場として使われている、 くすのき荘 からメリーちゃん(時 価 10 億円の作品 ※下記関連記事参照 )がやってきた瞬間を見ました。正装をし、白い手袋で恭しく展示を始める 山本直さん (かみいけ木賃文化ネットワーク共同代表・ヤマモトアトリエ 代表)の姿に、「これは記録に残しておかなきゃ」と、としま TIMES(池ブルックリン)にその場で記事を書いたことも。 たくさんのクリエイターが、場所に反応し、作品を生み出していった場所、それが池袋ローカルゲートでした。」

関連記事:池袋ローカルゲートに、10億円の作品が搬入された(池ブルックリン) 

池袋ローカルゲートで出張アトリエをする織田博子さん

イラスト:織田博子

マスク制作活動

この池袋ローカルゲートの開催期間中も、日々一刻と新型コロナウイルスの影響は変化していきました。 そんな状況を逆手に取るように、さまざまなクリエイティブ活動が繰り広げられました。


池袋ローカルゲート詳細リンク:東京感動線

<後編>へつづく
取材・文ː 宮田麻子 (としま scope 編集長)
写真提供 ©︎池袋ローカルゲート

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