イベントなどをきっかけに、若い世代にもまちのことに興味をもってほしい。

豊島区に100以上ある町会のなかで、大黒さんは数少ない女性の町会長さんでいらっしゃいますが、ご苦労などはありますか?

ここは鬼子母神も近く、昔ながらの住人の方も多いと思いますが、町会など地域のことに関わる方の世代交代は難しい問題ですね。

 

ー「商店街の方たちは若い方も多くて、まちを盛り上げるためにいろいろなイベントをしたり、積極的に地域活動に取り組んでくださいます。でも新築マンションに引っ越していらっしゃるような若い世代の方たちとはなかなか接点をもつ機会がないので、町会の活動に参加してもらうにはどうすればいいか、いつも考えているところです。イベントを行うと子供連れの方も参加してくださるので、そうしたことがきっかけになるといいのですが」

町会ではどのようなイベントをやっているのですか?

「御会式」には大勢の人がひとつになる。こうした世代を超えたつながりを大切にしたい。

大黒さん世代と、新しく住み始めた若い世代が一緒に参加できるイベントがあるのはいいですね。大黒さんご自身は目白のご出身なんですか?

ー 「主人は生まれも育ちもここですが、私は北海道出身で結婚して初めてここに来ました。もう50年近く前になりますが、結婚したときはこの家も今のようなビルではなく、周囲も小さな商店や木造の家ばかりでした。鬼子母神へ続く西参道の商店街は明治通りを挟んで目の前ですから、ビルがなかった頃は商店街のスーパーの中まで見えて「今、レジが空いているから行こう!」なんて言っていたくらいです。とても便利で生活しやすい場所だなと思いましたね。ご近所同士で仲がよくて、年齢にかかわらずみんな“ちゃん”付けで呼び合っているので最初は驚きました。今では私もそれにすっかり慣れてしまって70を過ぎた今でもお互いにちゃん付です(笑)」

鬼子母神では毎年「御会式」という伝統行事が行われますが、大黒さんも参加されますか?

ー「主人の昔からの仲間たちと作っている講(こう)があって、それに参加しています。『御会式』は毎年10月16日からと日付が決まっているので、子どもたちの幼馴染もこの日になると帰ってくる子が多いんですよ。もうみんな所帯をもった大人ですが「今年も来たよ!」って顔を見せてくれるのがうれしいですね。私も思わず「○○くん、おかえり!」と言ってしまいます。今でもこうして里帰りしてくれるのは、『御会式』というこの地に根付いた行事があるからではないかと思います。主人もそうですが、このあたりの人たちはみんな『御会式』になると張り切るんです(笑)この日をとても楽しみにしているんですよね」

地域により沿い、見える町会づくりを。

こうした都会で江戸時代から続く伝統的な行事が大切に守られているというのはすてきですね。「御会式」には万灯の飾りの準備などもあると思いますが、そういうことにも町会の方が参加されているんですか?

 

ー「万灯の花づくりは毎年、うちに20人くらい集まって作ります。毎年400個作るので一人でやるのは大変ですが、みんなで集まって作ればそれもひとつの楽しいイベントです。普段、なかなか接点がなくても、こうしたお祭りやイベントになると若い方もワッと集まってくださるのがいいなと思いますね。都会ですけど人情があるまちだと思います。『御会式』は一度参加するとやみつきになると言われていますから、この近くに住んでいる方はぜひ一度参加していただいて、自分たちのまちをもっと好きになってほしいですね。そうしたことをきっかけに、町会など地域の活動にも興味をもってもらえたらいいなと思います」

大黒智恵
目白東町会長。北海道生まれ。結婚後、現在の住まいである目白での生活を始め今年で49年目。平成15年から町会長を努めていたご主人(大黒芳樹さん)から引き継ぎ、新町会長に就任。

インタビュー:宮田麻子(豊島区「わたしらしく、暮らせるまち。」推進アドバイザー)
文:切替智子
写真:西野正将


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