被災地で感じた、これからのお寺のあるべき姿

駒込駅・巣鴨駅から歩いて15分ほど、かつて染井村と呼ばれた、ソメイヨシノ発祥の地でもあり、駒込の閑静な住宅街のなかに佇む勝林寺。田沼意次の菩提寺でもある400年以上の歴史がある臨済宗の禅寺が、昨年、モダンで洗練されたデザインの木造建築に生まれ変わりました。

ご住職の窪田充栄(じゅうえい)さんが、お寺を建て替えようと思った大きなきっかけは東日本大震災だったといいます。

―「ボランティアで被災地をまわったときに、お寺がいろいろな形で地域の方々の支えになっている姿を目の当たりにしました。避難所や救援物資の集積所、あるいは祈りの場として皆さんの心の支えにもなっていました。これがお寺の本来の姿であり、これからあるべき未来の姿でもあり、勝林寺もこうした場にしたいという思いがありました。そこで震災で壊れた場所を修理するなら、いっそのこと建て替えようと決意したのです」

数々の賞を受賞している建築家・手塚貴晴氏、由比氏が手がけた新しい勝林寺は、総バリアフリーに生まれ変わっただけでなく、禅の心“己事究明”(自己をみつめること)にも繋がるヨガや書道、仏像彫刻などのワークショップを積極的に行い、誰でも気軽に入れる、精神的にもバリアのないお寺となりました。

ハンディキャップのある人にもない人にも、同じように開かれた場に

勝林寺では、障がいをもった子どもと家族が集まって、ワークショップをしたり、移動水族館を招くなどのイベントを行うくつろぎの場「お寺でくつろぎば」を定期開催しています。窪田さんの2人の息子さんたちにも生まれつき障がいがあり、下のお子さんは生まれたときから看護が必要な状態です。当時はなぜ自分ばかりにこんなことが起こるのか、神も仏もないのかと思うくらい落ち込み、辛い日々だったといいます。

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カレーを通して人とお寺がつながるユニークなイベント

8月に行われた「カリー寺」のイベントでは、ご近所のインドカレー屋や住職のお知り合いがカレーを振る舞うほか、インド舞踊やヨガ教室など様々な催しが行われました。

勝林寺は『としま会議』の会場としても場を提供するなど、まちのお寺として地域に親しまれる存在になりつつあります。

―「人生の9割くらいを豊島区で過ごしてきましたが、これまであまり豊島区民であることを意識することはありませんでした。でも子どものことで保育園にお世話になったり、イベントでご近所の方と触れ合うなかで、本当にいろいろな個性をもった方たちがたくさんいるということを実感しました。豊島区が消滅可能性都市などと言われた時もありましたが、お寺はまちにあり続ける存在として100年スケールで将来を見据えていく必要もあると思っています。これからも、地域の方の暮らしのなかにある身近なお寺として歩んでいきたいですね」

インタビュー:宮田麻子(豊島区「わたしらしく、暮らせるまち。」推進室長)
文:切替智子
写真:西野正将


勝林寺
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