顔が見えるから、助け合える。町会員の親睦を深めることが、町会の目的のひとつ。

田崎さんは代々この地域に住まわれて、まちの移り変わりをご覧になっていると思います。以前のまちの様子はどんな感じでしたか?

ー「今でも商店街は残っていますが、当時は魚屋、米屋、八百屋……と、たくさんの個人商店が軒を連ね、地域のつながりも深かったですね。町会の寄り合いがあれば、奥さんが店番を代わりにしてご主人は出かけるということもよくあった光景です。地域活動や隣組の意識があたりまえのような雰囲気がまだありました。自営業が多かったということもあると思います。今は会社勤めの方が多いですし、顔を合わせる機会が少なく、なかなか地域の交流がはかれません」

近頃マンションが増えるなど、徐々にまちに住む人が「町会」との結びつきが希薄になっていると聞きます。そもそも、町会の役割とはなんでしょうか。

町会の目的のひとつに、『町会員の親睦を深める』があるのですが、何かあった時に助け合えるというのが一番の理由です。顔見知りのほうが、手助けするほうもされる方もしやすいですから。でも、馴れ合いでもない関係。今こそ町会のような存在は必要だと思います」

商店街の魚屋さんのご主人と
どこに行っても顔見知り

町会に入って35年。まちは大きく変わっても、安全・安心は変わらず心に。

いざというときに助け合えるように、町会はとても大切な住む人々のつなぎ役を担っているのですね。これまで田崎さんは町会でどのような活動をされてきましたか?

ー「35年前に初めて町会の理事に入ったときは、総務部でした。あらゆることをする係、なんでも屋です。行動範囲がまち全体に広がり、それまで暮らしていたまちの見え方が変わりましたね。今でもそうですが、当時も地震は心配されていて、生活用品の確保や人の安全など、安心して日常を過ごせるような取り組みを行いました。私の先々代の町会長と先代の町会長は、町会会館を建てるなど、大きな功績を残されました。私が町会長になった時は、何もしなくていいね!と言われたくらいです(笑)」

ところが3.11東日本大震災も経験されましたよね。

ー「そうなんです。町内には大きな被害はなく、そこはほっとしましたね。改めて、地域のつながりの大切さを感じました。最近は空き家が増えたことで、年末になると拍子木を叩きながら夜間パトロールを行っています。あれはいい音を出そうと思うと意外と難しいんですよ。音につられて、子どもたちが興味を持ってくれるのが嬉しいですね。ほかにも防災訓練などに、若いパパが参加してくれることもあります。安全・安心を守るという目的はもちろんですが、こういう活動を通して地域とのつながりや、町会入会のきっかけにもなればとも思っています」

西巣鴨の区民ひろばにて

地域によりそい、見える町会づくりを。

町会長となって12年目になりますが、何か特徴的な活動があれば教えてください。

そしてもうひとつ、回覧板に挟む情報紙の『かわら版』を毎月1回発行しています。理事会で決まったことや地域のお知らせなど、住民の皆さんにわかりやすく楽しく伝えようと始めたもので、115号目を発行したところです」

115号!それはすごいですね。

『かわら版』文章・イラストまですべて手作り

ー「こうした取り組みは、これからも続けていけたらと思っています。実は、特別に何か新しいことを始めようとか、次世代を育成しようとか、大きなことはあまり考えてはいないんです。先代から引き継いできたような、今までやってきたことを続けていけたらと。そして、興味を持って町会に入ってくれる方がいたら一緒に活動していこうと。まずは、地域の活動に注目してくれると嬉しいですね。街角にある掲示板に、情報が貼ってあります。どうぞお気軽に参加してください」

写真がご趣味で撮られるのは慣れないと言われつつ素敵な笑顔で

田崎不二夫
西巣鴨新田町会長。生まれも育ちも西巣鴨。昭和58年より町会の理事として従事、その後、平成19年に7代目の町会長に就任。 かつて区内最長だった谷端川を辿ることで、地域の歴史を後世に伝える冊子『旧谷端川の橋の跡を探る』(豊島区立郷土資料館友の会刊)に、寄稿。豊島区制80周年の記念事業「記憶の遺産80」には『NPO法人「としまの記憶」をつなぐ会』の語り手として参加。

インタビュー:宮田麻子(豊島区「わたしらしく、暮らせるまち。」推進室長)
文:田口みきこ
写真:西野正将


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