あんこを通じて世界平和を実現する。

―「どの地域も、土産屋にはあんこ菓子が並んでいますよね。どこに行っても皆さんのそばにあるのがあんこなんです」と熱く語ります。現在約400名のあんこ愛好家で構成するあんこ協会。池袋に本部を構え、そのミッションは「あんこを通じて世界平和を実現する」と、実に壮大です。食べた人が思わず笑顔になるあんこの魅力は、一朝一夕では語りつくせないほどある――。にしいさんは、まだまだ知られていないあんこの可能性を様々な形で伝えています。

その一つに、あんこ協会に紐づく組織として結成した《あんこ部》があります。東京三大どら焼きや東京三大豆大福など、人気のあんこ菓子を食べ比べるイベントの企画開催が主な活動です。その仕組みは、人気がありすぎて手に入りにくい菓子をも、あんこ部マネージャーが一気に調達してくれるというもの。あんこの違いや自分の好みを探ることのできる食べ比べイベントは、全国規模で展開し、各地でセミナーを開くなど、あんこ普及につなげています。

また、全国のあんこ菓子を集めた通販サイト《あんこ百貨店》も運営するほか、あんこで「世界平和の実現」を目指すにしいさんの構想は、メディアにも多く取り上げられています。最近ではラジオ番組やテレビのバラエティ番組にも出演。にしいさんオススメの、豊島区界隈に点在するあんこの名店に、参加者は大いに盛り上がりました。あんこ協会認定の「あんこ女子検定・あんこ男子検定」は、誰でも腕試しが可能。―「協会員になると、認定あんこ女子、あんこ男子に認められ、あんバサダーと名乗ることができます」とのことですよ。


インドから授かってきた、夫とわが子と、人を笑顔にする技術

かつてはデザインの分野を学ぶ学生として、ものづくりに励んでいたカーン江夏さん。自身が制作したTシャツを売りさばけた喜びの最中にあるテレビ番組を目にします。番組で語られていたのは、「Tシャツを自由に手に入れられるのは、世界中の20%の人々。残りの80%は、Tシャツを買うお金があるくらいなら食べものを買わなければならない人々」という現実でした。―「その現実を知り、とにかく日本を出て勉強しようと思った」と自身のターニングポイントを振り返ります。

もっと視野を広げたい――。感じたことを即行動に移し、気づいたらインドの地に立っていたというカーン江夏さん。何度となく訪ねたインドでパートナーとなるご主人と出会い、2度目の出産はあえてインドで行いました。ベビーケアの考え方や手法は日本のそれと大きく異なり、肝を冷やす場面も多々あったのだとか。―「赤ちゃんを大事に大事に育てながらも、様々思い悩むお母さんがいたら、一度私のインド体験談を聞きにきて欲しいんです。もう何でもよくなっちゃうかも(笑)」

エステティシャンとしてのキャリアも13年となるカーン江夏さん。オープンして間もない自身のサロンでは、ボディメイクや体質改善などを施すかたわら、サロンの定休日を使って絵本教室も開いています。サロンの内装は全てセルフペインティング。ご主人と営む《ムガルカフェ》の店内も同様で、独創的な絵画を少しずつ書き足している最中です。「だいたいのことは過ぎてしまえば笑えるお茶会(仮)」なる会も企画。カーン江夏さんのおおらかな人柄で描くAnkurの世界観、一度のぞいてみたいものです。


マンガをもっと広げたい。挑み続ける、マンガの新しい届けかた。

代表社員を務める《レインボーバード合同会社》では、マンガを軸に施設・展示・販促・商品等のコンテンツプロデュース・キュレーション・プランニング業務など、新たな価値の創出に力を注いでいます。共著「『ONE PIECE』に学ぶ最強ビジネスチームの作り方」「人生と勉強に効く 学べるマンガ100冊」などを代表作に、執筆家の一面を持つ山内さん。2018年には、文京区春日にギャラリーとカフェとを併設した新刊書店《マンガナイトBOOKS》をオープンし、マンガを片手に交流が図れる場づくりを試みています。

そんな山内さんが、東アジア文化都市2019豊島で手がける企画は、実に盛りだくさん。すでに、東京芸術劇場と豊島区役所庁舎で開かれたオープニング展示では、かつてマンガ界の重鎮が集った豊島区ゆかりの原画展や、著名な作家同士によるトークイベントを開き、多くの来場者が訪れました。―「マンガ家は、社会に対する思いがあって絵を描いているんです」と、マンガの優れた機能面にも着目してきた、山内さんならではの観点を反映した企画展示となりました。

4月から随時開催の、マンガ・アニメを“体験”できる「としマンガとしアニメ キャラバン」は、移動式プログラムとして評判となっています。また、7月31日まで展示中の『「これも学習マンガだ!」展―マンガで学ぶ、11の世界―』は、山内さんも立ち上げや選書委員として携わった、学びのきっかけとなるマンガを選出・推薦するプロジェクトの企画展。―「なぜ学びとなるのかが伝わる、見応えのある展示に仕立てました」と意気込みを語ります。山内さんによると、手塚治虫の生誕から約90年が経ち、大衆文化として発展を続けたマンガは、現在のものが4世代目。まだまだ知らないマンガの真価と可能性を感じてみたくなりました。


アートとテクノロジーと社会課題の間にあるもの

スペキュラティブ・デザインとは、未来に起こりうる様々な問題を提起し、多くの人にその問題を真摯に考えてもらうためのデザインです。社会に問いかける作品を制作し続けてきた長谷川さん。―「作品づくりの鍵は、その問題をいかに現実と紐づけて、多くの人にリアリティを感じてもらえるかにある」と力を込めます。その着想は、自身の体験の中で浮かび上がった戸惑いや葛藤がもととなっているのだそうです。

長谷川さんは、バイオテクノロジー、中でも「生殖」をテーマとする作品を多く発表しています。―「遺伝子編集が可能となったとき、私たちは一体何を欲望し、何を願うのか」。出産・育児にまつわる様々なジレンマや課題が浮き彫りとなる今の時代において、容易に推測できること以外の選択肢を、いくつもの作品を通して提示してきました。

その中で、特に日本で話題となったのが《(Im)possible baby/(不)可能な子供》。実在する同性カップルのDNAデータをもとに、どのような子どもが誕生するかを予測し、家族写真を制作するなどした作品です。iPS万能細胞の技術が進歩することで、同性間でも子どもを持つことが可能となる――。一方で存在するのが「技術的には不可能ではなくなっても、倫理的に許されない」とする意見。こうした社会通念に疑問を投げかけ、六本木の森美術館に展示された当作品は、NHKのドキュメンタリー番組としても取り上げられ、大いに議論を生む成果をあげました。2019年11月から森美術館で始まる《未来と芸術展(仮題)》でも、長谷川さんが描く、少し先の未来に触れることができるそうです。


果物王国で育った男がつくる、完熟のドライフルーツ

その第一弾として昨年立ち上げた《Komons》は、洗剤などの日用品ブランド。既存の画一的な商品に疑問を抱いたことをきっかけに、全国各地を回って、原料や処方、香りのブレンドを学びながら商品化にこぎつけた有井さん。国内での先行販売を経て、今後は海外展開にも力を入れていく予定です。

―「日本全国に埋もれている、モノづくりの技術や生産者の想いを形にしたい」。その信念のもと、2019年夏、ドライフルーツのブランド「FRUITEST」を誕生させます。FRUITESTの原点となったのは、山梨のブドウ農家で生まれ育った有井さんが、当たり前のように口にしていた完熟果物です。流通事情により、完熟の状態で出回ることがまずないことを、山梨を離れて知った有井さん。―「完熟のタイミングのあの香りを、多くの人に楽しんでもらいたい」。その思いは、みずみずしさをできる限り保ちながら、果物本来のおいしさを凝縮させることを可能にした「レアドライ」という加工技術との出合いで結実します。その技術を有する企業と、最上級の果物を作り出そうと切磋琢磨する生産者との連携で実現したのがFRUITESTです。

この日、参加者に振舞われた、シャインマスカットやピオーネなどの果実をパッケージしたFRUITESTの果物。日本全国からこだわりの果物を集め、砂糖や添加物を使わない製法で仕上げた一粒は、味も食感も格別でした。―「徐々に取り扱う品種を増やしていきたい」と語る有井さん。まさにそのブランディングはスタートしたばかり。日本が誇る果物の価値のグローバルな展開が楽しみです。


会場となった《RYOZAN PARK Lounge》は、「チャレンジしたい人たちが切磋琢磨できるコミュニティをつくりたい」というオーナーの思いが込められたシェアオフィス。選りすぐりのインテリアが集められた空間は、思い思いの過ごし方ができるしつらえで、たくさんのひらめきが生まれそうです。カルテットによる生演奏もあり、終始リラックスした雰囲気に包まれました。

文/写真:後藤 菜穂



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