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住み込みながら切り開く、パティシエとしての新たな世界

cache cache
桜井 亜弓さん(cache cache 主宰、パティシエ)

椎名町のまち宿、シーナと一平の1階スペースが、日替わりカフェになっているのはご存知ですか。2020年2月より、月・金・土・日の週4日オープンしているのが《cache cache─菓酒果旬》(カシュカシュ)です。お菓子の製造・販売を手がける主宰の桜井亜弓さんは、最近「住み込みパティシエ」として活動をスタートしました。そのきっかけは、このほどの緊急事態宣言。通勤での感染リスクを考え営業の継続を悩んでいたところ、シーナと一平の空き部屋を使えることになり、思い切って住み込みの働き方にシフトしました。

フランス語でかくれんぼを意味するcache cacheに、日本の旬の果物やお酒の魅力を伝えたいという想いを込めて「菓酒果旬」の文字を重ねました。―「cache cacheのお菓子を通してワクワクする体験や発見をしてもらいたい」と語る桜井さんのお勧めは、お酒とお菓子のペアリングです。生産者が丹精込めて作った果物やお酒。その個性や作られた背景をSNSで紹介しながら、cache cacheのお菓子で丁寧に表現しています。

週末カフェとしてスタートしたcache cacheでしたが、感染症拡大防止のために、現在はテイクアウトのみの営業。その渦中に生まれたのが「おうちパティシエ」の企画です。予約を受けて季節の果物やゼリー、クリームなどをパッケージした「パティシエキット」を店頭で渡し、自宅でオリジナルのカップデザート作りを楽しんでもらうというもの。SNSに作り方の参考動画をアップして、見よう見まねでパティシエ気分を楽しんでもらえる仕組みです。

―「家にいる時間が長くなった今は、新しいことを生活に取り入れる良い機会。今までお菓子作りをしたことのない人も、家族で一緒に作ること、自分で作ったものを食べることを体験してもらえたら嬉しいです」。今後は、セミオーダーケーキの販売や、焼き菓子のネット販売と、当初のカフェ運営からスタイルを変化させていく予定だとか。状況が落ち着いたら、果物農家や酒蔵、ワイナリーなどに足を運び、―「もっともっと生産者の想いをcache cacheのお菓子で表現していきたい」と語る桜井さんです。


元祖ホットヨガ、東京の一大拠点が要町にオープン

ビクラムヨガ要町
清家 絵里奈さん(ビクラムヨガ要町 代表、ビクラムヨガティーチャー)

東京メトロ要町駅の真上、要町一丁目交差点の一角に、昨年ビクラムヨガのスタジオ《ビクラムヨガ要町》がオープンしました。ホットヨガの元祖と言われるビクラムヨガは、温40℃/湿度40%の部屋で90分間、26のポーズと2つの呼吸法を組み合わせ、世界のどのスタジオでも毎回同じ内容、同じ順番でレッスンするのが特徴です。スタジオの代表の清家絵里奈さんは、―「初心者・上級者のクラス分けもなく、筋肉質な方も年配の方もそれぞれの体の状態に応じた練習ができるのがいいところ」と語ります。

ビクラムヨガティーチャーとして現在はスタジオを構える清家さん。さかのぼって高校生の頃にはヒーローショーのアルバイト、上海での留学生活を経てスタントアクションや舞台役者を目指した時期もありました。体を資本としながらも、これという道が見つからなかったある時、地元大阪で清家さんは初めてヨガを体験します。―「母に誘われるままに行ったそのクラスで、ポーズのハードさに打ちのめされました。身体能力には自信があったので……」。明らかに体調の変化を感じ、東京に戻ってすぐにビクラムヨガのスタジオに入会。毎日のようにスタジオに通い、1年後にはティーチャートレーニングに参加しました。

清家さんいわく、ビクラムヨガの起源は、インドで体の不調を訴える人に施す処方箋として広まったもの。体の各器官に作用するあらゆるポーズを体系化したことで、ビクラムヨガは世界中で親しまれるようになりました。健康な体づくりができ、ひいては人生も変わるとして愛好家が増える一方、日本各地にあったビクラムヨガスタジオのフランチャイズが、昨春全て撤退してしまいます。いつかスタジオを立ち上げようと考えていた清家さんは、このタイミングしかない!と各地から人が集まるにはちょうどよい場所として、池袋からほど近い要町にスタジオを構えました。

日本全国だけでなく、海外からもビクラムヨガを求めて人が集まり、―「生徒さんや先生みんなの悲願が達成された」という要町のスタジオ。現在は新型コロナウィルスの影響で、これまで通りのスタジオ運営とはいきませんが、感染予防の徹底と新たにオンラインレッスンも開講しました。ベストボディ・ジャパンコンテストでの受賞、同協会が主催するプロレス団体でも活躍する清家さん。この日、登壇の中で、すぐにできる呼吸法をレクチャーし、参加者はそれぞれの自宅でほんのひと時、体の中から熱くなるヨガ体験をしました。


“商店街暮らし”推奨。あたたかい居場所がふえる。をつくる

ただいま商店街
立野 恵祐さん(ただいま商店街株式会社 最高ふろしき責任者)

池袋駅・要町駅から徒歩14分の西十字商店街の一角に、「シェアキッチン付き・シェア移動販売車付き・シェアハウス」がオープンします。その名も《なるべく住み開きッチン ただいま荘》。空き家となった店舗付き住宅を活用するプロジェクトとして、今年はじめ、クラウドファンディングによって実現しました。立ち上げたのは「ただいま商店街株式会社」の立野恵祐さん。児童養護施設に勤めた経験から、―「家庭の機能をまちにアウトソーシングできないか」という想いがプロジェクトの原点となっています。

「あたたかい居場所がふえる。をつくる」──。そのミッションのもとプロジェクト第一弾となるのがただいま荘です。―「店舗付き住宅の空き家は、日本中に10万戸くらいあると言われています。それを再利用しながら、やりたいことやスキルを持っている若い人と、空き家や資金を持っている年配者をつなげ、世代・地域・仕事のHUB(ハブ)になる空間を作ろうと考えています」。

この日、ただいま荘から中継で登壇した立野さん。まさに実況中継の場となった1階のシェアキッチンは、自身の想いを形にしようとする若者の拠点として、様々な企画に対応できる厨房機器を揃えている最中でした。―「つながりを作り、それぞれが生きやすい世の中にしたい」という想いが注がれた空間からは、場を作って終わりではないことが伝わってきました。

商店街に住み開き、商店街での暮らしを体現するプロジェクトは、たくさんの挑戦が詰まっています。その挑戦を受け入れてくれるまちだと感じ、この地で一歩を踏み出したばかりの立野さん。今後は、シェア移動販売車の完成に合わせてケイタリングも計画しており、状況に応じてゆるやかにその活動をまちに開いていきます。


居場所を失った若年妊婦に「いつでもおいで」と言えるHOMEを

NPO法人ピッコラーレ
中島かおりさん(NPO法人ピッコラーレ 代表理事)

世の中には、いろんな妊娠があり、いろんな出産があり、いろんな子育てがある──。そう語るのは、助産師として病院や助産院に勤めながら、積極的に地域活動もしてきた中島かおりさん。一人では解決できない問題を抱えたお母さんがいることに強い危機感を抱いてきたといいます。―「子どもの虐待死で一番多いのは、生まれたその日に亡くなってしまう赤ちゃん。犯罪者となってしまったお母さんが、実は母子手帳も取得できず、病院にもかかれず、たった1人でお産をしていた、というニュースを聞き、何かできることはないだろうかと考えました」。

様々な問題で孤立するお母さんたちとつながり支援するため、2015年、助産師や社会福祉士の仲間とともに妊娠葛藤相談窓口として、「にんしんSOS東京」を開設。2018年には、より幅広い事業展開を目指して《NPO法人ピッコラーレ》を設立し、頼れる人や居場所がない妊婦に会いに行き、病院や行政機関につなげるなど、様々な活動を行なってきました。妊娠にまつわる全ての「困った」「どうしよう」に寄り添うピッコラーレ。その支援活動を通して、中島さんは居場所を失った若年妊婦に出会います。そうした人たちを救える手立てを模索し、このほど《project HOME》を立ち上げ、豊島区千川の一戸建てにその拠点を置きました。

居場所を失った若年妊婦に「いつでもおいで」と言えるHOMEを──。抱えきれない問題に悩む姿を何人も見てきた経験から、―「まずは安心して心身を休めてもらいたい。そして困っている妊婦さんにとって“今必要なもの”が何なのかを一緒に考えて、そして自分で選び取ることを大切にしたい。ここに来ればいろんな出会いがあり、いざという時の頼り先が増える。そういう場所にしたい」と中島さんは言います。地域のNPO法人との連携や豊島区の地域貢献型空き家利活用事業によって結実したproject HOME。いわゆるシェルターのような“保護”を目的とした施設とは異なり、地域に開き“オープン”で“安全”な居場所と位置付けています。

困窮している人の存在に気がつくことなく、必要なサポートがまだまだ足りない社会。中島さんは、まずは彼らの存在を知って欲しいと言います。―「問題がその人自身にあるのではなく、社会資源の不足によるものだとしたら、その問題は社会全体で乗り越えていかなければならない」と、法制度の狭間で苦しむ人の存在にも目を向けます。「『にんしん』をきっかけに誰もが自由に幸せに生きることができる社会」の実現を目指すピッコラーレ。地域とのつながりをしっかりと感じながら、いつか自分の居場所を見つけてほしいという願いを込めて、HOME第1号がスタートします。


民族衣装から紡ぎ出す、現代日本における服飾

eofm / eofm laboratory
鶴田 剛郎さん(eofm 代表 兼 デザイナー)

―「流行に左右されない、10年20年と着られる服を作っていきたい」と語るのは、ブランド《eofm》代表、鶴田剛郎さん。雑貨や制服のプロデュースなどを手がけ、2018年には、豊島区南大塚の地で、企画展などを開催する「eofm laboratory」をスタートさせました。「民族衣装の機能性や美を、今の服に落とし込む」をコンセプトに作られるeofmの服。ブランド名はExperiment of Folk Methodの頭文字をとっており、「民俗的手法による実験」という意味が込められています。

鶴田さんが民族衣装に深く傾倒するきっかけとなったのは、洞窟や遺跡から発掘された、数千年前に着用されていたという衣服。現代のパンツやチュニックと同じような形をしていることに心動かされたといいます。―「今あってもおかしくないというところに驚き、デザインの恒久性に着目した」という鶴田さんは、流行を追うファストファッションなどとは一線を画し、民族衣装に宿る機能性やデザイン性を現代の服に落とし込み、長年着られるeofm の服を紡ぎ出しています。

―「近代的な洋服は曲線が多いのに対して、民族衣装は直線断ちでできていて、着物もそうです。ところが、それが数千年前の遺跡から、曲線を持つ今の服の形になったものが発掘されたようで。歴史を覆すような発見を研究者が論文にしているんです。そういった洋服の歴史を深めていくことは、すごく楽しいものです」。世界各地に残る古来の民族衣装は、どれもその土地の気候や宗教と密接に絡まり形作られている──。鶴田さんは、自身の視点で研究とアレンジを重ねています。

ホームページでも紹介している各地の歴史的調査と考察。そこには、一点ずつ長く着られるものを紡ぎ出す、鶴田さんのこだわりが込められています。民俗衣装のデザインをそのまま再現するのではなく、日本の環境に適した素材や形に変えて表現されたeofmの服。その意匠は、eofm laboratoryで開かれる「十年服展」をはじめ、様々なクリエイターによる企画展示で触れることができます。


Web会議システム「Remo」が活用された今回。出入り自由のスタイルで開かれ、参加者は最も多い時で80人を数えました。会に参加するとバーチャル会場に自分のアイコンが表示される仕組みで、Remoを使うのは初めて!という人がほとんどでしたが、後半の交流パーティーでは自分のアイコンを移動させながら、オンラインならではのおもしろさを味わっていました。

「小さな子どもがいるので、普段はなかなか参加できず……。今回は自宅から参加できたし、途中音声だけ聴きながら寝かしつけもできて、大満足です」「これまでは仕事のあとで間に合わないことが多かったのですが、今回は帰宅して取るものとりあえず参加できてうれしいです」など、あれこれ制約の多い中、オンライン開催のメリットを感じた人も多かったようです。

文/写真:後藤 菜穂



https://www.facebook.com/toshimakaigi/
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